Viva Piazzolla!! 〜アストル・ピアソラ ライヴ・イン・トーキョー 1982

Viva, viva Loco!
Viva Piazzolla!!
Loco él y loca yo!!!
 
万歳! 万歳ロコ!
ピアソラ万歳!!
彼はクレイジー男 わたしはクレイジー女!!!

(「ロコへのバラード」 アストル・ピアソラ、オラシオ・フェレール、歌詞対訳:高場将美)

[2004-06-14-3]でも触れた

  • アストル・ピアソラ ライヴ・イン・トーキョー 1982 (P.J.L. MTCW 1012/13)

の Disc-2 track 7 に収録された「ロコへのバラード」において、一番最後の部分で藤沢嵐子さんが歌い上げたフレーズです。
勿論「ピアソラ万歳」の部分は嵐子さんが即興で入れた言葉ですが、この瞬間に「彼」と「わたし」はオラシオ・フェレールの虚構の中の男女ではなく、ピアソラと嵐子さん自身に置き換わったように感じました。タンゴに孤独な革命を挑んだ男と、地球の裏側の歌を30年以上も追及してきた女、いずれも正気の沙汰ではない執念であり、2人の間に流れる「ロコ」としての連帯感にとても熱いものを感じた瞬間でした。
というわけで、ついに6/23に発売されました。ピアソラの1982年の初来日公演におけるライブ録音です。NHK-FM で放送するために収録された音源の奇跡の復刻です (発売までの経緯は斎藤充正さんのサイトをご参照ください)。
私にとっては放送当時にエアチェックして繰り返し聴いた音源であったわけですが、実はそのテープがオープンリールで、デッキが不調になってしまったせいもあって、ずいぶん久しぶりに聴いた音源でもあります。また、放送ではカットされた部分も収録されていて、それがまた新鮮だったりもします (冒頭述べた部分も今回の CD で初めて聴きました)。
とにかく、演奏に勢いがあります。1曲目の「ビジュージャ」から凄いテンション。「AA 印の悲しみ」の、壮絶な集団即興から全員一丸となって疾走するフィナーレへの怒涛の迫力、張りつめた静寂から劇的な盛り上がりへと至る「タンガータ」などなど、これまで出たピアソラのあらゆるライブ録音と並べても、間違いなくトップレベルの出来栄えです。22年振りの発掘音源といっても、決してマニア向けのものではありません。要は22年間埋もれていたこと自体が間違いだったわけで、ピアソラを知っている人はもちろん、初めてピアソラを聴いてみよう、と思う人にも文句なしにおすすめできる CD です。

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