ベスト・タンゴ100

そろそろタンゴのことも書かないと、というわけで、昨年末にリリースされた入門者向けCDのご紹介。
ベスト・タンゴ100 (ビクターエンタテインメント, VICP-63641〜6)

ベスト・タンゴ100(ホセ・リベルテーラと古典的五重奏団/ノルベルト・ラモス六重奏団/ギターラス・デ・オロ/クアルテート・ポルテーニョ/ドン・パンセラ四重奏団/アリエル・ペデルネーラ五重奏団/フアン・カルロス・カビエージョ四重奏団/キンテート・グローリア/ニコラス・ダレッサンドロ六重奏団/ウーゴ・ディアス/オムニバス)

ピアソラやダンスからタンゴに興味を持った方が、いろいろなスタイルのタンゴを聴いてみようと思ったとき、非常に強い味方になるCDである。5枚のCDに100曲ものタンゴが収められており、さらにボーナスディスクとして「リズムの王様」と呼ばれたフアン・ダリエンソの追悼ライブ・アルバムから選ばれた30曲が収められた1枚がついてくる。これだけの分量で5,000円という値段である。
音源は1970年代以降現代に至るまでのものが使用され、音質良好。オスバルド・プグリエーセやアニバル・トロイロのような超のつく有名アーティストこそ含まれていないが、フアン・カンバレリ、ニコラス・ダレッサンドロ、ホセ・リベルテーラ、フルビオ・サラマンカ、カルロス・ガルシーア、フランチーニ=ポンティエル、ホセ・バッソ、フリアン・プラサ、アントニオ・アグリ、…と、すばらしい面々の演奏が収められている。
そして、入門者にとってありがたいのが、各ディスクが時代と編成別に編集されていること。以下のようになっている。

  • DISC 1 古典タンゴ名曲集<小編成楽団編>
  • DISC 2 古典タンゴ名曲集<オルケスタ編>
  • DISC 3 タンゴ黄金時代の名曲集
  • DISC 4 歌のタンゴ名曲集
  • DISC 5 現代タンゴ名曲集

一般には、古典の曲を現代風にアレンジして演奏することもよくあるのだが、このアルバムのDISC 1、2に収められている演奏はあくまで古典の雰囲気(特にリズムの表現)を残したものになっている。この雰囲気の違いを聴き比べて体感できることは、タンゴを知る上で非常に有意義なのだ。
さらに、古典、現代それぞれの中でもいろいろなスタイルがあるわけだが、それも聞き比べることができる。
曲とアーティストの丁寧な紹介が収められたブックレットもすばらしい。このあたりはさすが西村秀人さんの監修だけのことはある。
もちろん、このCDを入門者だけのものにしておくのは惜しい。特に、収録されている音源の多くがアーティストの来日記念盤から選ばれたものであること、本国ではCD化されていない(今やここでしか聴けない)音源も含まれていること、などは、タンゴを聴き続けてきた方にとっても魅力的であろう。
[posted on 2007-06-06]

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