風 / Moony Night

「風」再結成!にて

買ってしまうかも。

と書いたオリジナルアルバム5枚の再リリース、先日一括購入してしまったので、順次ご紹介して行こうと思う。
まずは彼らのラスト・アルバムにして最高傑作、『Moony Night』。

Moony Night(風)

1978年にリリースされた彼等の5枚目のアルバムで、今聴いても全く古さを感じさせない。ウェストコースト系AORサウンドをベースに、メロディーラインには彼等特有の日本的情緒も織り込まれ、最上質のポップスに仕上がっている。1曲目の伊勢正三の曲「月が射す夜」は、弦セクションやアコースティック・ピアノを効果的に使って、心地よいスピード感をもたらした曲。もっともこのアルバムらしい曲といえるだろう。
2曲目の「あとがき」は大久保一久の風における最良の作品のひとつ。ガットギターによるボサノバ調の導入から、バンドの音が空間的に一気に広がる瞬間はあまりにも気持ちよい。この曲をはじめとして、このアルバムの大久保一久の曲はすべて、曲、詞、歌唱・演奏のいずれにおいても完成度が高い。
一方で伊勢正三の曲においては、特に詞のシンプルさが特筆に価する。俳句のように言葉を極限までそぎ落とすことにより、歌唱自体に空間的な余裕がもたらされ、それが音作りに極めてよくマッチしている。アルバム・ラストの「夕凪」のもたらす余韻が素晴らしい。
このアルバムを以って、「風」サウンドは完成形に至ったと言えるだろう。それ故か、彼らは翌年に2枚組ベストアルバム『古暦〜Old Calendar』をリリースし、解散してしまうのである。

  • 2007-12-31 タイトルの書式が化けていたので修正、旧リリースへのリンクを削除
  • 2007-07-30 内容追記

[posted on 2007-07-29]

風 / Moony Night” に対して2件のコメントがあります。

  1. 夏蜜柑 より:

    久保やん、いいですねえ。
    現在病気療養中らしいのですが、体調を取り戻したら、風再活動に期待したいですね。

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