昔々のベリカード発掘(1) ベトナムの声

先日、重い腰を上げて部屋にたまった不要物の整理をしていたら、こんなものを発見!
中南米のラジオ局のベリカード
中南米のラジオ局のベリカード posted by (C)よしむら
私と同年代の方ならおわかりだろう。「ベリカード」である。1970年代後半から1980年代初頭にかけて、中高生を中心に爆発的なブームとなったものの一つにBCL (Broadcasting Listener、海外などの放送を聴くこと) があった。放送を聞くことそのものに加え、放送局に「受信報告書」を送るとベリカード (Verification card、受信確認証) というものが送られてきて、それを集めるのが楽しかったのだ。ご多分に漏れず私もBCLにハマりまくった。上の写真は私がもらったものの中でもかなり聴くのが難しかった部類の、中南米の放送局のカードである。
さて、せっかく見つけたこのベリカード、どうせならブログで少しずつ紹介してみようかと思う。上記の中南米の各局については後日改めて紹介するとして、今回は「ベトナムの声」を取り上げてみたい。
ベトナムの声 ベリレター
ベトナムの声 ベリレター posted by (C)よしむら
受信日時は1975年3月4日7:12~7:35 (日本時間)、周波数は10.040MHz。特に明記はされていないが日本語放送だった。ちなみに当時私は小学5年生だったので、登校前に聴いていたのだろう。
写真のとおり、受信報告を確認した旨だけを伝える極めて地味なベリレター (カードではなくレター形式の受信確認証をこう呼ぶ) である。イラストや写真をあしらったカードが主流だった中で、まあ正直なところあまり眺めて楽しいものでもない。しかし、今回改めてこのレターを見て、歴史の重みを感じてしまったのだ。
というのも、ベトナム戦争が終結したのは1975年4月30日 (サイゴン陥落の日)。つまり、私が聴いたタイミングはベトナム戦争の最終局面だった、ということになる。Wikipediaによれば米軍が撤退した後の南ベトナムに対して北ベトナムが全面攻撃を開始したのが1975年3月10日。このベリレターに記された日付はその1週間前という、緊迫したタイミングだったのだ。
それで思い出したのだが、同年4月30日もしくは5月1日 (おそらく後者) の放送も聴いた覚えがある。爆竹の音が流れ、高揚したアナウンサーがサイゴン陥落を伝えていた。子供ながらも何か歴史が変わった瞬間だと思ったものであった。そんなこともあり、地味なベリレターにもかかわらず、なかなか印象深いのがこの1枚なのである。
あれから39年、ベトナムは大きな発展を遂げ、日本とも経済的な結びつきは強まっている。出張や観光で現地に行ったことがある方も少なくないだろう。フォーやバインミーなどの食べ物も日本で親しまれるようになり、当時に比べるとベトナムはずっと身近な国になっている。
調べてみたところ、現在もベトナムの声は日本語放送を行っていて、短波ラジオに加えてインターネットでストリーミングやオンデマンドでも聴くことができる。ストリーミングで久しぶりに聞いてみたところ、ベトナムのポップスなども紹介されてなかなか楽しい。ベトナムに興味のある方、ベトナムに関する情報が必要な方は、一度聴いてみていただきたい。

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