B→C:バッハからコンテンポラリーへ / ACTIVA (2000.10.24)

データ

曲目

第1部

第2部

アンコール

所感

「B→C:バッハからコンテンポラリーへ」は東京オペラシティの企画による定期演奏会で、 今回はACTIVAが出演。

バッハはともかく現代音楽にはほとんど馴染みのない私であるが (ホントはバッハも良く知らない)、 なかなか楽しめたコンサートであった。 以下、演奏された曲順に従って感想を記す。

オープニングはバッハの「フルートとチェンバロのためのソナタ」。 プリペアードピアノ (弦に物を載せたり挟んだりして音色や響きに特殊な効果を与えたもの) でチェンバロ風の音色を作る、という試みがなされていた。 安心して聴けた一曲。

千葉さんのソロによるドホナーニイの「パッサカリア」は…ピアソラの「タンゴ・エチュード」を思い出してしまった (これは多分私の引き出しの少なさに起因するもの)。

黒田さんのソロによるバッハ/ブラームス編「左手のためのシャコンヌ」は、 原曲の持つ痛切な感じが少し和らいで、 落ち着いた印象を受けた。 その分重みが加わり、陰影に富んでいたと思う。 後半の長調に転じる部分の美しさも格別であった。

第2部の1曲目、夏田昌和「フルートとプリペアードピアノのための赤道地方の歌」は、この日最も印象的だった曲。 フルートの懐かしいような不思議なフレーズ、 竹か何かのパーカッションを思わせるプリペアード・ピアノの音色、 千葉さんが足に付けた鈴、 これらが特に展開も収束もせずに繰り返される。 どちらかといえば弛緩した感じの曲想でありながら、 いつの間にか耳に残って離れない。

一方、従来からの個人的な好みに最も合っていたのが、 次に演奏されたフラーの「プレスト」。 私の場合、いくら複雑であってもリズムは継続して鳴っている方が好きなのだ。 終盤の激しいパッセージの絡みはスリリングだったし、 その後の偶発的フレーズも緊張感があって良かった。

望月京「インテルメッツィ」は、 フルート、ピアノとも音色のバリエーションが面白かった。 プログラムに記された作曲者のコメントによれば、 多くの短いフレーズが互いを連接し、結果として相互に挿入されている、 という構造の曲だったようで、 実際幾つかのフレーズは強い印象を残した。 しかしながら、全体としてはややピンとこないものがあった、 というのが正直なところ。

アンコールは1曲目に演奏された「フルートとピアノのためのソナタ」 から第2楽章の「シチリアーナ」を再演。

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吉村俊司(東京都)

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作成: Nov 19, 2000
最終更新: Nov 19, 2000