このアルバムは、ヤワな気持ちで聴くと聴くと火傷します。ガット弦の7弦ギターとエレクトリック・ギター、それにドラムスというトリオが、ジャズやロックの要素を大胆に加えつつピアソラの音楽に真っ向から挑んだ作品です。
これまでジャズやクラシックのさまざまなアーティストに取り上げられてきたピアソラの音楽ですが、その中にあっても飯泉トリオのアプローチは異色といえます。 しかし彼らの演奏は、その異色さとは裏腹に、ピアソラの音楽の持つ本質的な力強さをきわめて忠実に表現しています。
そもそも、ややこしい事は抜きにしてものすごくかっこいいギター・ミュージックになっています。個人的好みとしては、徐々に混沌へとなだれ込む3、タイトなリズム感がすばらしい有名曲5、ロック魂が炸裂する9、10などが気に入っています。 また、6、7、8での矢野祐子の声は非常に説得力があり、切々と心に染み入ります。
それにしても、低音弦で弾くベースラインでタンゴ的なノリをキープしつつ、切れ味鋭いコードワークやポリフォニックな展開が暴れまわる飯泉さんのギター!すごいです!! ギター小僧必聴です。
なお、CDの購入方法をはじめとする各種情報に関しては飯泉さんのホームページを参照してください。