なんだか全然更新できない日々が続いてしまいましたが、少しづつでもまた書きつないで行こうと思っています。よろしくお願いします。
さて今回は、注目すべき若手タンゴ・グループのCDの紹介です。
エル・デスキーテ(El Desquite)はヴァイオリンのエリカ・ディ・サルボを中心に、バンドネオンのアレハンドロ・サラテらが参加した若手のタンゴ六重奏団です。CD "Tango en esquina Carlos Gardel" (EPSA, 17464)は彼等の1枚目で、リリースは1年以上前になります。一部で話題になったCDで、既に御存じの方にとっては「何を今更」という感じかもしれませんが、ようやく最近入手してその力強い演奏に圧倒された私としては、やはり何事か書かないわけには行きません。というわけで、久々再開のこのページのテーマとして選んでみました。
アルバムの収録曲中、個人的に最も興味深かったのはエドゥアルド・ロビーラ作の「ケ・ロ・パーレン」(やつを止めろ)です。孤高の作曲家・バンドネオン奏者ロビーラの遺作となったアルバムのタイトル曲で、これまでおそらく他者によってはほとんど演奏される機会がなかったものと思われますが、快テンポのタンゴのビートに載せた現代的なテーマと対位法的展開の交錯が非常に面白い曲です。演奏もロビーラ本人のもの以上に勢いのある快演で、アルバム随一の聴きものと言えるでしょう。
また、アルフレド・ゴビの作品が2曲収められているのもゴビのファンとしてはうれしいところ。特に「エル・アンダリエーゴ」の叙情性は特筆に値します。「ガジョ・シエゴ」は、今やこの曲の決定版となった感のあるプグリエーセ楽団のアレンジ(ビクトル・ラバジェンによるもの)を踏襲しており、見事な演奏。この他メンバーの作品や、先頃惜しくも亡くなったフリアン・プラサの「ディソナンテ」(不協和音)、レオポルド・フェデリコの「フェスティバル」、アティリオ・スタンポーネの「我が友チョーロ」、そしておなじみピアソラの「アディオス・ノニーノ」など聴き所満載で、おすすめの一枚です。
最近なかなかCD店に行く時間もままならず、必ずしも最新の情報をお届けできるとは限らないのですが、聴く価値のあるCDの情報などは、それこそ「行きあたりばったり」でも良いのでアップしよう、と考えています。これからもよろしくお願いします。
(2003年7月21日作成)