このたび「行きあたりばったり音楽談議」なる企画をスタートします。音楽談議と言っても、私が書く以上は中心はタンゴになります。と同時に、タイトルが示すように、行きあたりばったりで(あるいは恣意的に)いつのまにかジャズやロックやクラシックの話題に行ってしまったり、そこからまたタンゴにつながったり、というような企画にして行くつもりです。どうかよろしくお願いします。
あ、気になることがあったら、どんどんメールや掲示板で突っ込みを入れて下さいね。書ける内容であれば、そちらにふらふらと寄り道、ということにもなると思います。
さて、記念すべき第1回は、最近CDをリリースしたばかりのタンゴ・グループのお話です。なんとも楽しいタンゴですよ。
福岡、北九州を拠点に活動するタンゴ・トリオ、トリオ・ロス・ファンダンゴスが、ついにCD「トリオ・ロス・ファンダンゴス1」(TLF-Records, TLF 1129-1)をリリースした、という噂を聞きつけ、早速入手してみました。届いたCDを即開封して聴いてみると…ムフフ、これは良いではないの。いつの間にか顔がニヤケてしまっていたのでした。
このグループは、岩津直子(アコーディオン)、秋元多恵子(pf)、谷本仰(vn)という陣容で、1999年に結成されたそうです。谷本さんによる当サイトの掲示板への書き込みやトリオ・ロス・ファンダンゴスのホームページなどでライブが楽しそうな雰囲気は伝わってきていたのですが、何せ九州での話。東京在住の私は簡単には聴きに行けず、興味ばかりが募る日々だったのです。ですから今回のCDリリースは、ついにあのトリオの音が聴ける、ということでとても嬉しいニュースでした。
CD収録曲は古典タンゴが中心で「夜明け」「バンドネオンの嘆き」など全6曲とコンパクト。一部にちょっとした演出もありますが(何かは聴いてのお楽しみ)、全体にアレンジはオーソドックスで、タンゴ的ツボはしっかり押さえられています。その上で、思わず勝手に体が動き出して顔がほころんでしまうような楽しさを持っている、というのは、実はかなり凄いことではないかと思うのです。
収録曲中唯一のピアソラ作品「ブエノスアイレスの夏」は、これまた何とも濃い演奏。しっかりとタメの効いた中間部から一気に爆発し、混沌のエンディングへとなだれ込むところは、思わずゾクゾクします。そして、同曲からラストの「レ・ファ・シ」への大きな落差がまた良いのです。
というわけで、CDで聴いても楽しさいっぱいのこのグループ、こうなるとますますライブで聴きたいという気持ちになってしまいます。ゴールデンウィークには、ダンスのケンジ&リリアナを迎えての「タンゴの節句ツアー」もあるようですので、お近く方はぜひ機会があったら聴きに行ってみて下さい。そのうち東京にも来ないかなー。
CDについてもライブについても、詳細はトリオ・ロス・ファンダンゴスのホームページを参照して下さい。
あ、ちなみに「ファンダンゴ」って、元々はスペイン舞曲の一形式名ですが、「大騒ぎ」というような意味でも使われる言葉です。昔、確か映画で「ファンダンゴ」っていうのがありましたね。最近では吉本興業がFandango!というサイトをやっているようです。
日本のタンゴといえば、古くは早川真平や坂本政一、藤沢嵐子、阿保郁夫など、少し時代が下って現在活躍中の京谷弘司、門奈紀生、そして小松亮太といった人達が有名ですが、さらに新しい世代(小松さんは同世代かな?)の演奏家が他にもたくさん出てきています。最近実際に音を聴いた人としては、バンドネオンの小川紀美代さん、ヴァイオリンの喜多直毅さんがそれぞれ興味深い活動をしています。これらの演奏家たちのことも、いずれここで取り上げたいと思っていますのでお楽しみに。
さて、来週は…ってこの企画、週刊にするんだっけ?えーと…大体週刊、ってことにしときましょう。
で、来週出るかもしれない次号では、アルゼンチンの新世代タンゴ・グループについて紹介します。
(2002年4月13日作成)