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東京バンドネオン倶楽部第5回演奏会
以下について修正しました (2001年5月13日)。
- 曲目の第1部8曲目 "Silbando" が抜けていた
- この曲の編曲者カルロス・ニエシを7曲目 "Canaro en Paris" の編曲者としていた
データ
- 2001.4.18 19:00〜
- 東京・すみだトリフォニー小ホール
- 東京バンドネオン倶楽部
- 賛助出演 小松亮太&ザ・タンギスツ:小松亮太 (bn)、近藤久美子、会田桃子 (vn)、東谷健司 (b)、青木菜穂子 (pf)
- 川波幸恵、北村聡、早川純 (bn)
曲目
第1部
- A la gran muñeca [A la gran muneca] - 大きな人形 (ヘスス・ベントゥラ)
- Sentimiento gaucho - ガウチョの嘆き (フランシスコ・カナロ)
- Loca de amor - 狂乱の恋 (R.J. ポデスタ、E.カビグリア)
- Sábado inglés [Sabado ingles] - 半どん (フアン・マグリオ)
- Marejada - 大波 (ロベルト・フィルポ)
- El ingeniero - 技師 (アレハンドロ・ジュニッシ)
- Canaro en París [Canaro en Paris] - パリのカナロ (アレハンドロ・スカルピーノ、フアン・カルダレーラ)
- Silbando - 口笛を吹きながら (カトゥロ・カスティージョ、セバスティアン・ピアナ、ホセ・ゴンサーレス・カスティージョ / カルロス・ニエシ編曲)
- BWV578 - バッハ小フーガ (J.S.バッハ) - bn x 7
- Negracha - ネグラーチャ (オスバルド・プグリエーセ)
- Sideral - 天体 (エミリオ・バルカルセ)
第2部
- Pabellón de las rosas [Pabellon de las rosas] - 薔薇の館 (ホセ・フェリペッティ、A.カタニア)
- Payma - パイマ (ロベルト・アルバレス)
- Solfeando - ソルフェアンド (マリオ・デマルコ)
- バンドネオン・ソロ・メドレー
- La casita de mis viejos - 両親の小さな家 (フアン・カルロス・コビアン / アストル・ピアソラ編曲) - bn: 川波幸恵
- Pa' que bailen los muchachos - 仲間たちの踊りのために (アニバル・トロイロ / フリオ・パネ編曲) - bn: 北村聡
- El día que me quierras [El dia que me quierras] - 想いの届く日 (カルロス・ガルデル / マクシモ・モーリ編曲) - bn: 早川純
- Bordoneo y 900 - 1900年のギターの響き (オスバルド・ルジェロ)
- La cumparsita - カーニバルの行列 (ヘラルド・エルナン・マトス・ロドリゲス)
- El desbande - エル・デスバンデ (アストル・ピアソラ)
- Morena - モレーナ (フリアン・プラサ)
- Todos los sueños [Todos los suenos] - 夢のすべて (ホセ・コランジェロ)
アンコール
- A média luz [A media luz] - 淡き光に (エドガルド・ドナート)
所感
バンドネオンを愛する人たちの団体によるコンサート。
顧問の小松亮太氏は、コンサートでもMCをやり、カウントを出し、演奏にも参加し、
と大活躍であった。
基本的に、賛助出演のザ・タンギスツのメンバーと、
小松亮太+倶楽部のメンバーによるバンドネオン6〜8名によるオルケスタの演奏。
バンドネオン陣は1曲毎に数名ずつ入れ替わっていた。
第1部前半はカルロス・ディ・サルリなどの古典派のスタイルによるゆったりとして滋味のある演奏が続いた。
「半どん」「技師」などが印象に残った。
オスバルド・プグリエーセのスタイルの「パリのカナロ」
からいわゆる「濃い」世界に突入。
「口笛を吹きながら」は適度にモダンな編曲も良く、好演。
続くバッハの「小フーガ」はバンドネオン7台のみによる崇高な響きの演奏であった。
「ネグラーチャ」「天体」と、
個人的には大好きな曲目で、第1部は終了。
聴き慣れたつもりの編曲であっても、
バンドネオンの中低音部の動きなど何ともカッコ良くて新鮮であった。
続く第2部では古典と現代のワルツ2曲「薔薇の館」「パイマ」でスタート。
この後「ソルフェアンド」から「エル・デスバンデ」までは、
5月に行われる小松亮太のオルケスタ・ティピカによる公演の予告編的なもので、
バンドネオンは公演メンバーの川波幸恵、北村聡、早川純と小松の4人に固定された。
小松以外の3人はいずれもまだ学生!とのことで、
世界で最も若いバンドネオン・セクションを持つオルケスタかもしれない。
バンドネオン・ソロ・メドレーではこの若い3人がリレーで1曲ずつ弾いたのだが、
これがまた素晴らしい!
オルケスタでの演奏も、ティピカ編成としては弦が足りないが
(それでもヴァイオリン二人でかなり健闘)、
本公演への期待を高めるには十分な内容であった。
最後は現代的なミロンガ「モレーナ」と、
各パートの聴かせどころがいっぱいのコランジェロの名作「夢のすべて」、
アンコールの「淡き光に」で、プログラムは終了。
時には「ん?」と思うような箇所もなかったではないが、
まあそれはご愛嬌。
基本的に演奏の水準は非常に高く、
バンドネオン陣の見せ場のバリアシオン (変奏) はきちっと揃って決まっていたし、
複数台のバンドネオンならではのうねりや広がりも素晴らしく、
何よりみんなこの楽器と音楽が大好きであることが伝わって来る
とても気持ちの良いコンサートであった。
タンゴの標準的楽団編成で、バンドネオン、ヴァイオリンが各4程度、
コントラバス、ピアノ、これに時としてヴィオラやチェロが加わる、といったもの。
1940年代ごろ確立されたスタイルであるが、
経済的理由などから近年はコンスタントに活動しているものはほとんどない。
詳しくは斎藤充正氏のtangodelic!で展開されている「タンゴ教室」を参照されたい。
[2001年4月29日(日) 記]
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吉村俊司(東京都)
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最終更新:2001.05.13