ステージ中央にメンバー4人が手を重ね、かけ声とともにその手を挙げる、 という何やら体育会のようなオープニング儀式で始まったコンサート。 その一瞬には何だか苦笑してしまった私であるが…
1曲目のまさに第1音からとにかく圧倒されっぱなしであった。 極めて緻密に練り上げられた一分の隙もないアンサンブル、 混沌へと向かう即興、 容赦ない重さで迫り来る音の塊、 繊細な2本のギターの絡み合いによる冷徹なまでの美しさ、 ほんのひととき顔をのぞかせる叙情的なメロディー、 そして全体を支配する緊張感。 まさに本来の意味でのプログレッシヴ・ロックであったと思う。
中心となった新作 "The ConstruKction of Light" はいずれも素晴らしく、 旧作では "Red" が壮絶。 一方、1980年代の曲は、ドラム、ベースのリズムの切れが若干落ちる気がした。 トニー・レヴィンのコーラスがないのもちょっと寂しい (でもやっぱりカッコ良い)。
椅子に座ったままで複雑怪奇な高速フレーズを恐ろしい正確さと力強さで弾き切るフリップは、 まるで悟りを開いた高僧のようなたたずまいであった。
アンコール1曲目 "Three of a Perfect Pair" はブリューのアコースティック・ギター弾き語りによるもので、感動的。 "Elephant Talk" はブリューのぞうさんギターやや不発気味。 そして、なんとデヴィッド・ボウイの "Heroes" が!
[2000.10.29記]
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最終更新: Oct 09, 2000