よしむらのページ:音楽的実演鑑賞の記録:飯泉昌宏(2002.4.26)
聴けた分のみ。しかもこの日はメモを取らなかったので覚えている分だけで、曲順も演奏順とは限らない。既に記憶もあいまいだなぁ。いいずみさん、ごめんよー。あまりに変だったら指摘しておくれ。
トリオでの活動でもおなじみのギタリスト、飯泉昌宏の大塚GRECOでのソロ・ライブ。仕事を片付けてから行ったため、2部の途中からしか聴くことができなかった。
この日のプログラムは、古いタンゴを中心にフォルクローレやオリジナル曲をまじえたもの。タンゴにおいては、低音弦でしっかりタンゴ的なグルーヴを保ちながら、随所に飯泉のバックグランドであるジャズ的な感覚が見え隠れし、ありそうでない形のタンゴ・ギターが堪能できた。中でも面白かったのは「淡き光に」である。Dに下げた6弦を通奏音的に使った、ちょっとオリエンタルな雰囲気もある導入から、音価を2倍に取った(本来4拍分のフレーズを8拍かけて演奏、といった感じ)リズミックな部分、そしてリズムをキープしたままで譜割りは通常のタンゴの解釈、と展開して行くもの。これだけのことがさらりとコンパクトに凝縮されていて、たいへん強く印象に残った。またフォルクローレ、オリジナル曲の豊かな情感も素晴らしく、心に染みる演奏であった。
アンコールは「遅れて来たよしむらさんのために」などと恐縮しつつ感激してしまう言葉とともに、「リベルタンゴ」。タイトル通りの自由なフォームによるインプロヴィゼーション満載の演奏は、それまでのしっかり構成を決めた演奏とはまた異なる魅力に溢れており、スリリングで迫力があった。
正直に言えば、技巧面で若干精度を欠く部分もなかったわけではない。ただそれも、あくまでグルーヴを大切にする上でのトレードオフであったように思われるし、そこに彼が何を大切にしているかを感じることもできる。
というわけで、後半だけでも聴けて良かった、と言えるライブであった。
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