* 編曲:黒田亜樹
# ゲスト:藤原真理
知人でもあるピアニスト、クロアキこと黒田亜樹のサロン・コンサート。
何と言っても、この日の目玉は4「ミロンガ・プレリュード (フローラのゲーム)」 と5「アルゼンチン舞曲集」であった。 4はピアソラがクラシックのピアノ曲として書いた作品の中では最高傑作といえる 「3つのプレリュード」からの第2パート。 美しくドラマチックな展開を見せる曲であるが、 タンゴの演奏を通じて獲得したミロンガのリズムの重みと、 ぎりぎりのところでウエットになりすぎない表現によって、 曲の魅力が存分に引き出された名演であった。 続く5は、ピアソラの若い頃の師であり、 20世紀南米を代表する作曲家であるヒナステラのピアノ曲である。 いかにも現代音楽風の第1パート、メロウな第2パート、 音とリズムの洪水の第3パートと、それぞれの特徴が際立つ演奏で、 特に第3パートの圧倒的な色彩感が素晴らしかった。
一方、日本を代表するチェリストの一人、藤原真理さんをゲストに迎えての7は、 美しく端正な演奏であったと思う。確かに凄味という意味では物足りなさも感じたが、 ご本人が 「今日をスタート点として、これから1年ぐらいじっくりとタンゴに取り組みたい」 というようなことをおっしゃっていたので、大いにこれからに期待したい。
この他、オープニングを飾った1「淡き光に」の幻想的な雰囲気、 ピアソラの一連のタンゴや3「エル・チョクロ」の力強さと美しさ、 アンコールの9「LOST CHILD」におけるチェロの豊かな響き、 などいずれも素晴らしかった。
もっとも、聴き手にとっては耳から入る情報量があまりに大きくて、 少々疲れたのも事実ではある。 いろんな意味で「圧倒的」という言葉がふさわしいコンサートであった。
休憩ではワインのサービスがあった。赤を飲んだが、美味。 確かアルゼンチンのワインだったと思う。
終演後、会場で行われたミニ打ち上げにちゃっかり参加させてもらった。 ここでもワインで乾杯。
さらに、翌日もう一つの本番が控えているクロアキ嬢には 「悪いけど勝手に盛り上がらせてもらいまっせ」と言い残し、 ネット関係で知り合った方々と新宿に出て宴会。 ちょっと段取りが悪くて、店を求めてうろうろさまよってしまったが、 結局歌舞伎町の台湾料理屋に入った (記憶を頼りに探すとどうやら 「台南市場 新宿店」だったと思われる)。 ビールで乾杯し、料理をつまみながら硬軟裏表とりまぜた話題で ひとしきり盛り上がったところで、いつの間にかもう終電が危い時刻。 ちょっと残念だったけど、健全に日付けが変わる前に散会となったのであった。
[2000.7.3記]
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最終更新: Jul 28, 2000