想いのとどく日*+/ホルヘ的場に捧ぐ/魅せられし心#/タンゲーラ/バンドネオンの嘆き/トゥージャ (あなたのもの)*#/秋のテーマ/タンゴはこうして踊る*/パリのカナロ/モローチャの中庭*/ミロンガ・セレクション (パジャドーラ〜みんなで〜すご腕〜ノクトゥルナ)/ラ・クンパルシータ
友に捧ぐ/デレーチョ・ビエホ/街角+/軍靴の響き+/ロコへのバラード#/リベルタンゴ/花咲くオレンジの木*/想い出/カミニート*#/さらば草原よ/40年代のミロンガ/郷愁*/鍵盤の悲しみ
ラ・クンパルシータ*#
* : カルロス・ロッシ歌
# : 前田はるみ歌
+ : オマール・バレンテのピアノソロ
これまでのオマール・バレンテに対する私のイメージは、 タンゴ界きってのテクニシャンであるピアニストだが、 そのアレンジは曲をいじり過ぎるきらいがある、というもの。 もっとも、聴いたことがある演奏は、1970年代のバングアトリオ (マルコーニとバレンテが技巧の限りを尽くして古いタンゴを解体、再構築したもので、 名盤) と、ピアノ+編曲で参加した他者のアルバム2、3枚程度で、 近年の大編成による来日公演は聴いたことがなかった。
最近、何人かの方が「今回のバレンテは非常に良い」と言っているのを聞き、 それなら、と新宿厚生年金会館での東京公演 (7月22日、昼の部) に足を運んでみた。
オープニングはバレンテのピアノ・ソロをバックにカルロス・ロッシが歌う 「想いの届く日」。情感たっぷりの歌に対して時に軽妙なピアノがバランス良く、 洒落た幕開けとなった。
続いて、フルメンバーによる「ホルヘ的場に捧ぐ」。 これが曲、演奏とも素晴しかった。 勝手にイメージしていた音が軽目のものだったのだが、 実際には非常に重厚な音で、正直言って驚いてしまった。
この後、1部の「秋のテーマ」「パリのカナロ」、 2部の「リベルタンゴ」「想い出」「鍵盤の悲しみ」 あたりではバレンテ流の編曲が厭味にならない程度に施され、 聴きどころとなっていた。 特に「リベルタンゴ」は途中ジュンバ風リズムに載せた部分もあり、 これまでに聴いたこの曲の演奏としては最もオリジナリティに溢れるものであった。
一方で、歌曲ではツボを押さえた演奏、 器楽曲でも何曲かはかなり標準的な編曲に徹していた。
二人の歌手のうち、前田はるみは個人的感想としてはまずまず、といったところ。 カルロス・ロッシは「タンゴはこうして踊る」「花咲くオレンジの木」 などが雰囲気ピッタリで、非常に良かった。 ダンスに関しても、個人的にはまずまず。
今回最も驚いたのは、バレンテのエンタテイナーぶり。 突然甲高い声で「アノネ!」と客席に声をかけたり、 聴きどころで拍手をあおったり、と、過剰とも思えるサービルぶりであった。 2部にピアノ・ソロで演奏した「街角」では、 キメのリズムを観客に手拍子で打たせようとし、 うまく合わないと大袈裟に嘆いてみせたりして、客席を大いにわかせていた。
[2000.7.30記]
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最終更新: Jul 30, 2000