最近(2000年3月)こんな本が出ました。
ピアソラの生涯において重要な位置を占める曲を100曲、ピアソラにまつわる人を100人取り上げ、それぞれについて解説を加えたものです。 もちろんピアソラ入門者のための名曲名盤ガイドとして非常に有用ですが、さらにピアソラの音楽を多少なりとも知っている人にこそぜひとも読んで欲しい本です。
本書の真中にあるのはピアソラという人の実に魅力的な音楽とその生涯ですが、その彼がどこから影響を受け、どこに影響を与えたか、という横へ枝葉の広がりが実に面白いのです。 その範囲はトロイロ、デカロ、バッハ、バルトークからディジー・ガレスピー、ジェリー・マリガン、さらには小松亮太らの日本人に至るまで実に多岐にわたり、それぞれの解説やエピソードも興味深いものばかり。 ピアソラを媒介として日頃あまり聴かない音楽へ越境するためのガイドにもなり得ます。
また、ピアソラが来日した際のインタビューを再掲している、という点は本書の特筆すべき点でしょう。 ピアソラの言葉は非常に率直でかつ前向きであり、その語り口は時に厳しく時にユーモラスで、読む者を不思議と元気づけてくれる力があります。 本書で久々に活字になり多くの人に読まれることは非常に意義ある事で、この点からも編者、出版社に我々は多いに感謝すべきです。
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Last modified: Wed Mar 01 13:04:14 JST 2000