タンゴあれこれ | よしむらのページ

日本のタンゴ2枚

日本人のタンゴ演奏者のレベルは、実は非常に高い水準にあり、本場アルゼンチンでも高く評価されています。古くは早川真平、坂本政一、藤沢嵐子、そして最近では小松亮太が有名ですね。

最近また新しく、非常に優れたタンゴのCDがリリースされましたので、ここに紹介します。

Volver - エル・タンゴ・ビーボ

エル・タンゴ・ビーボはピアノの熊田洋とコントラバスの東谷健司によるデュオです。通常ドラムスを使わないタンゴにおいては、ピアノの左手とコントラバスがリズムの要であり、その二つの楽器で構成されたデュオはまさにタンゴの本質を抽出したものと言えます。

"Volver"は、数年前からカフェやライブハウスなどでコンスタントに活動してきた二人が満を持してリリースしたアルバムです。収められている曲目の何とも渋く、かつ味のあることか。原曲の良さを最大限に活かしたアレンジで、最高にすばらしいタンゴを聴かせてくれます。

なお、このアルバムは彼等が定期的にコンサートを開いている本覚寺というお寺の本堂で録音されました。ピアノの豊かな響き、コントラバスの重量感と生々しさが余すところなく収められています。

自主制作のアルバムのため、タンゴを重点的に扱っているようなレコード店以外では入手が困難と思われます。幸いエル・タンゴ・ビーボのホームページを通じて通信販売で購入できますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

タンゴの館/Palacio del Tango - 志賀清/加藤真由美

日本のタンゴ界を代表するバイオリン奏者である志賀清が、1994年と1997年にブエノスアイレスで録音してきたタンゴの数々を収めたのがこの"Palacio del Tango/タンゴの館"です。実にタンゴらしい味にあふれたバイオリンで、名曲の数々が時に甘く、時に力強く奏でられます。

志賀の演奏を支えるオルケスタがまた超のつく名手ぞろいの豪華メンバーです。 バンドネオンはレオポルド・フェデリコ、ネストル・マルコーニ、ビクトル・ラバジェンの3巨匠が曲により交代で参加、また弦セクションはバイオリンのマウリシオ・マルチェリ、レイナルド・ニチェーレ(1998年没)、アントニオ・アグリ(同じく1998年没)をはじめとするソリスト格がアンサンブルで参加しています。 ピアノはこのアルバムのもう一人の主役である加藤真由美とオスバルド・ベリンジェリ。 どの一人をピックアップしてもリーダーアルバムが作れてしまうほどのメンバーによる豊かな響きは非常に魅力的です。

ところで、そのもう一人の主役であるピアニスト、加藤真由美。 私は不勉強にしてこれまでその存在を知りませんでしたが、力強くかつ華麗なピアノは素晴らしいの一言です。また、彼女の編曲の才能も要注目です。本アルバムでも2、3曲を担当していますが、吉祥寺「ヘリオトロープ」で聴いた志賀清=京谷弘司トリオのライブでの編曲が、伝統とモダンの程よいバランスで非常に印象に残っています。

なお、このアルバムも自主制作で、一般的なお店では手に入らないかもしれません。タンゴに力を入れているCD店か、志賀/加藤のコンサートやライブ会場で購入できると思います。

[1999年7月31日記]
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吉村俊司(東京都)
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Last modified: Sat Jul 31 01:38:04 JST 1999