ザ・キング・オブ・タンゴ/小松亮太(2009年12月18日 19:00〜 東京・北千住 シアター1010)
ザ・キング・オブ・タンゴ!タンゴの王様!なんかすごいタイトルではある。年配の方なら「タンゴの王様ならフランシスコ・カナロに決まっとる」と言われるかもしれない。いや、もちろん小松亮太自身、自分がタンゴの王様だと言っているわけではない(と思う)。演奏される曲目がすべてタンゴの名曲ばかりの王道を行く選曲、ということなのだ(と思う)。私が行った12月18日はツアー最終日の前日で、小松亮太のルーツの地である北千住での公演。雰囲気も和やかで、非常にリラックスして楽しめたコンサートだった。
曲目は2009年9月に発売された『碧空〜昭和タンゴ・プレイバック』に収録された曲が中心。リリースされたときにずいぶん繰り返し聴いたので、細かいアレンジまですっかり耳に馴染んでいるのだが、生で聴くとやはりまた違った新鮮さがある。
第一部ラストの「ラスト・タンゴ・イン・パリ」にはアコーディオンの佐藤芳明がゲストで登場し、熱い演奏を繰り広げた。サル・ガヴォ同僚の喜多直毅も密かに対抗して燃えていたように見えたのは気のせいか。
第二部の「メドレー」では近藤久美子が途中でいきなり客席に登場し、客席の間を回りながら演奏する、という演出もあった。単に歩き回るだけでなく、鮮やかなステップで踊りながらであり、ものすごくかっこ良かった。
さらに、「首の差で」の途中から歌手の大城クラウディアがサプライズ・ゲストとして登場。CDにも収録されている「エル・チョクロ」、彼女が昔から好きで歌っていたという「スール」を見事に歌い切った。
終盤には、もはや有名なタンゴとしては外すことの出来ない存在となったアストル・ピアソラの作品が3曲演奏された。個人的には「アディオス・ノニーノ」が思い出深い編曲でうれしかった。1997年ごろ、私が初めて小松亮太の演奏に触れた時にトリオで演奏していた編曲なのだ。しかもこれは、1976年にレオポルド・フェデリコが来日した際に演奏していた編曲に基づいている(フェデリコのLP『Min-On 7a Serie』に収録)。
ラストの「ラ・クンパルシータ」ではソロを回しながらメンバー紹介、アンコールは意外にもフォルクローレの「花祭り」。
懐かしい曲を懐かしさだけに依存せずに聴かせる、という趣向は見事に成功したと言えるだろう。今年を締めくくるのには最高のコンサートであった。
- 小松亮太プロデュース ザ・キング・オブ・タンゴ
- 2009年12月18日 19:00〜 東京・北千住 シアター1010
- メンバー
- 小松亮太、北村聡(バンドネオン)
- 近藤久美子、喜多直毅(ヴァイオリン)
- 番場かおり(ヴィオラ)
- 松本卓以(チェロ)
- 松永孝義(コントラバス)
- 桜井芳樹(ギター)
- 佐竹尚史(パーカッション)
- 小林照未(パーカッション)
- 三枝伸太郎(ピアノ)
- ゲスト
- 佐藤芳明(アコーディオン)
- 大城クラウディア(歌)
- 第一部
- 淡き光
- ノスタルヒアス
- 夜のプラットフォーム
- 碧空
- 奥様お手をどうぞ
- ジェラシー
- アディオス・ムチャーチョス
- 想いの届く日
- ブルー・タンゴ
- ラスト・タンゴ・イン・パリ
- 第二部
- カミニート
- メドレー
- 首の差で
- エル・チョクロ
- スール
- バンドネオンの嘆き
- オブリヴィオン
- アディオス・ノニーノ
- リベルタンゴ
- ラ・クンパルシータ
- アンコール
- 花祭り
碧空~昭和タンゴ・プレイバック(小松亮太/大城クラウディア)
[Posted on 2009-12-20]
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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