『ブエノスアイレスのマリア』キャストの面々

ついに公演当日(2013年6月29日)になってしまった『ブエノスアイレスのマリア』。超直前予備知識第二弾として、来日した歌手と語りの面々がどんな人達か、簡単に紹介したい。
まずはマリア役の歌手、アメリータ・バルタール。元々フォルクローレの歌手だったが、1968年の『ブエノスアイレスのマリア』初演時にピアソラ=フェレールに見出されて主役に抜擢された、まさに本物のオリジナル・キャスト。正直に言えば決して「上手い」歌手ではないのだが、独特のハスキーな声と強烈な存在感は誰にも代えられない。今回がまさかの初来日。映像は「グリセル」。

実はこれ、「エンクエントロ・エン・エル・エストゥディオ」(スタジオでの出会い)というコンテンツの一部。上の曲を含む全編はこちらなので、時間のある方はぜひ通して観ていただきたい。

夢見る雀のポルテーニョ、吟遊詩人の声、等の役をこなす男性歌手はレオナルド・グラナドス。彼はベネズエラ出身のボレロ/タンゴ歌手で、2011年に中止になってしまった『ブエノスアイレスのマリア』公演でも出演する予定だった。その時の縁で、2012年に小松亮太がピアソラ=ボルヘス作『エル・タンゴ』を演奏した際にも歌と語りで出演し、強烈な印象を残している。彼の映像は古いタンゴから「ビクトリア」。

彼の公式サイトでは美しいボレロ「コモ・フエ」を聴くこともできる
そして今回、アメリータの来日と同じくらい驚いたのが、語りのみの小悪魔役をギジェルモ・フェルナンデスが演じるということ。新世代のタンゴ歌手としてデビューした彼も既に55歳、現在ではこの世界の大スター歌手なのだ。それがまさか歌ではなく語りでの出演とは!
実は彼は、2002年にパリで、2007~2008年にブエノスアイレスでそれぞれ行われた『ブエノスアイレスのマリア』公演に歌手として出演している(2007~2008年は女性歌手がフリア・センコ、語りがオラシオ・フェレール)。物語を熟知した彼が役を変えての語りをどんな風に演じてくれるのか、大いに楽しみだ。
彼の歌手としての実力はこちらを観ていただければお分かりだろう。「フイモス」(昔の二人)というロマンチックなタンゴをクリスティアン・サラテのピアノのみの伴奏で。

さて、こんな凄い面々が演じる小オペラ『ブエノスアイレスのマリア』、あと13時間半で開演だ!

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