英国一家、ますます日本を食べる (著:マイケル・ブース、訳:寺西のぶ子、亜紀書房)

先日、 英国一家、日本を食べる (著:マイケル・ブース、訳:寺西のぶ子、亜紀書房)

ところで、実は原書 (この本は本来欧米の読者に向けて書かれたものなのだ)では言及さ れている話題のいくつかが、本書の翻訳時には省略されているらしい。これは原書も読んでみた方が良いかな…。一方で、続編が出ているようなので、それも興味深い。次はどっちを読もうか。

と書いた、「続編」にあたるもの。

英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)(マイケル・ブース/寺西 のぶ子)

何のことはない、続編だと思った本書に収められている内容こそ、原書でカットされた部分だったのだ。築地場外市場の見学、欧米で悪の権化のごとく認識されているMSG (グルタミン酸ソーダ) の総本山・味の素への訪問取材(内容は理性的で中立的)に始まり、一家四人での各地の食べ歩きも沢山収録されている。もともと一冊の本だった内容なので、ユーモアも毒も同じテンションが維持されていて、日本人でも知らなかったようなことも沢山。書き下ろしの特別番外編と、日本人読者に向けたエピローグでは、著者の日本を愛する気持ちが伝わってくる。
ただ、これは完全に一冊目を読んだ人向けの作りになっているので、これだけを読んでもなぜ彼らが日本で食べ歩いているのか、そもそも彼は誰なのか、などが全くわからないはずである。一方で、ここに収められているエピソードが抜けていたせいで一冊目の流れが不自然になっていた部分もあり、それを補う上では本書が出たことは喜ばしい。ぜひ一冊目を読んだ上で読んでみて頂きたい。

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