ブエノスアイレスのマリア (2014年7月15日19:00~ 板橋区立文化会館)
昨年(2013年)のオペラシティでの歴史的公演以来、約1年ぶりの『ブエノスアイレスのマリア』である。諸事情により行けないと思っていたが、土壇場でスケジュールの都合がついたので公演前日に慌ててチケット手配。2階席の後ろから2列目で、ステージからははるか遠いものの、比較的真ん中に近い席だったのはラッキーだった。
ブエノスアイレスのマリア 開演直前 posted by (C)よしむら
今年の公演は海外からのゲストは無し。2013年の江古田Buddyや小牧市での公演と同様に、Sayaca、KaZZmaが歌、片岡正二郎が語りを担当した。
前回からずいぶんと間が空いていることもあり、どんな演奏になるか期待と不安が入り混じる気持ちで開演を迎える。果たして出だしからやや演奏が硬い。ただ、片岡正二郎の語りが昨年とは違う。昨年はどちらかというと声を張り上げていることが多く、ともすると一本調子になりがちだった印象があるのだが、今年は抑えるべきところは抑え、叫ぶべきところは叫ぶ。起伏に富んだ語りは聴く者をぐっと作品の中に引き込む。歌のKaZZmaも、時には本来の美声や音程を犠牲にすることも厭わず、歌声に怒りや悲しみを込める。
やがて第1部後半から演奏も硬さが取れてくる。こうなるとこのメンバーはやはり凄い。演奏と歌が一体となって我々に迫る。この日の聴きどころは第2部の「精神分析医のアリア」。後半でのスペイン語の語りは、少なくとも日本では今回のSayacaを超えられる人はそういないだろう。
メンバーが昨年、アメリータ、ギジェルモ、レオナルドという素晴らしいゲストを迎えてオペラシティでの公演を体験したことは、やはりかけがえのない財産となっているに違いない。その只中にいた演奏者はもちろん、歌と語りの3名も、ゲスト陣が残したリファレンスから多くを吸収し、咀嚼し、自分のものにしてきたのではないかと思う。まだまだ進化できる。その進化をずっと証人として見届けたい。そんな風にも感じる公演だった。これからもぜひ、できることなら毎年、演奏し続けて欲しい作品である。
メンバー
- 小松亮太(バンドネオン)
- 黒田亜樹(ピアノ)
- 田中伸司(コントラバス)
- 近藤久美子、谷本仰(バイオリン)
- 吉田有紀子(ビオラ)
- 松本卓以(チェロ)
- 井上信平(フルート)
- 鬼怒無月(ギター)
- 佐竹尚史、真崎佳代子(パーカッション)
- Sayaca、KaZZma(歌)
- 片岡正二郎(語り)
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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初めまして、Twitterでブエノスアイレスを検索かけていましたらよしむらさんの記事をみました。
ブエノスアイレス住みの人を探しております。
詳しい方など何か情報あればお願いしたいのですが。
宜しくお願い致します。