無料で GPU が使える Paperspace Gradient を使ってみた

はじめに

先日の 無料で GPU が使える Paperspace Gradient について調べてみた に続いて今回は実際に Paperspace Gradient を使ってみました。アカウント作成から実際に notebook でプログラムを動かすところまで、手順や気付いた点などをまとめてみます。なお、無料で GPU が使い放題でラッキー!と無邪気に言えるほど世の中は甘くなかったので、その旨はご了承の上お読みください。

アカウント作成、ログインからノートブック作成まで

以下、初めて Gradient を使う想定で説明します。Jupyter notebook や TensorFlow 等、個々の詳細については触れませんのでご了承ください。

まず Gradient のトップページにアクセスし、右上の [SIGN UP FREE] をクリックします。

Google や GitHub のアカウントでもサインアップできますし、メールアドレスとパスワードを登録しても OK。好みの方法でサインアップしてください。

お時間のある方はぜひ [SEE DOCUMENTATION] でいろいろ確認してください (で、このページに誤りや補足があったらコメントいただけるとありがたいです)。そうでない方は [CRATE PROJECT] をクリック。

プロジェクト名を入力するダイアログが現れます。Docker のコンテナ名と同じようにランダムに形容詞と名詞を選んでいるっぽい適当な名前が既についていますが、もちろんお好みの名前を入力してもらって OK です。今回は callisto-sigmoid という名前が何となく気に入ったのでそのままで進めました。

”Let’s create your first notebook.” と言われたら “Sure!” ですね。[CREATE] をクリック。

Notebook 作成画面が開きます。まず名前。今回は fashion-mnist を TensorFlow で学習してみようと思ったので fashion-mnist-tf とし…たつもりが typo! ダサい(笑)

Runtime を選びます。Gradient の特徴の一つにこのセットアップ済みランタイムが挙げられます。やりたいタスクに合わせて適当なものを選びましょう。NVIDIA RAPDIS とか今度触ってみようかな、Transformers + NLP で自然言語処理のお勉強もいいな、とか目移りしつつ、今回は TensorFlow を使うことに決めたので TensorFlow 2.4.1 をクリック。

マシンを選びます。デフォルトでは Free-CPU になっていますが、やっぱり Free-GPU ですよね。

とはいえウマい話ばかりではなく、混んでるときは「今いっぱいなのでこのマシンタイプは選べません」と言われてしまうこともあります。

軽いタスクなら CPU を選ぶという手もありますが、とりあえず待ってみましょう。すぐつながることもありますが、結構待たされることもあります。

ちなみに Free-P5000 という上位の GPU の無料版も存在しますが、マウスを持って行くと「上位プランにアップグレードしてね」と言われてしまいます。有料アカウントにすると従量課金なしでこのマシンも選べる、という意味の Free なのですね。完全無料で P5000 が使えるというわけではありませんでした。

マシンを選んだらシャットダウンまでの時間を設定します。6時間まで使えます。Free の場合は回しっぱなしでも課金されるわけではないので6時間に設定しても問題ないですが、さっきの「使えません」が誰かに出てしまう可能性を考えて現実的な時間に設定しておきましょう (もちろん終了時にちゃんと手動でシャットダウンすれば問題ないので、6時間めいっぱいを選んでも構いません)。Public access は無料版ではオフにできないのでこのままにしておきます。

ここまで設定したら左下の [START NOTEBOOK] をクリック。

Notebook が立ち上がります。あらかじめ TensorFlow のチュートリアルが入っています (もちろん違うランタイムなら違うものが入っています)。

ここで新しい notebook を作ってプログラムを書いて…ってやれば良さそうなのですが、実は私の場合、実行時にエラーになったり、作った notebook が保存されなかったり、ということが続いてこの UI 画面をうまく使いこなすことができませんでした。

でもご安心を。以下の手順で標準の (素の) Jupyter notebook を開くことができます。こちらでは上述のようなトラブルもなく、快適に作業できました。

まず左端の縦に並んだアイコンの上から3番目、IC パッケージみたいな絵のアイコンが ”Instance” のアイコンなので、これをクリックします。するといきなり下の画面のようになって青いバーの中がくるくる回ります。くるくる回らず [START INSTANCE] と表示されている場合はそれをクリックしますが、多分インスタンスに空きがなくて「ちょっと待ってね」というメッセージが出るので、しばし待ちつつ時々クリックしてみます。残念ながら状況によってはなかなかつながらず、無料版の限界を実感することになります…。

くるくるが終わってインスタンスが立ち上がると下の画面のようになります。ここで小さくてわかりにくいのですが、左端のアイコンの列の一番下に一つアイコンが追加されているのがわかるでしょうか。多分皆さんおなじみの Jupyter notebook のアイコンです。

クリックすると、無事 Jupyter notebook の UI が開きます。ここまで来ればもうこっちのもの。好きなようにプログラムを書いて実行することができます。

使い終わったら戻るボタンで Gradient の UI に戻り、インスタンスアイコンをクリックしてインスタンスを停止しておきます (忘れても設定時間で勝手に止まります)。手順はここまで。

ちなみに今回作った fashion-mnist のノートは、上述のように public に設定されているのでどなたでも見ることができます。下記リンクをクリックしてみてください。最初に開いた Gradient 独自 UI で開きます (閲覧だけなのでこちらから Jupyter notebook を立ち上げることはできません)。

https://console.paperspace.com/teowe7iuh/notebook/rr9r8mbge409s6b?file=fashin-mnist.ipynb

…あ、fashin-mnist になってる!またも typo。

他に、さまざまな機械学習のプロジェクトを集めた ML Showcase というものもあります。

自分のアカウントですぐに動かすことができますので、勉強にもなりますし、何か新しいことを始める際のテンプレートとしても使えます。

まとめ

Paperspace Gradient について、アカウント作成から notebook 立ち上げまでの手順をまとめました。ポイントは以下の通り。

  • 用途に応じたセットアップ済みランタイムは便利そう
  • 無料アカウントでは使える GPU は一種類のみ
    • Free-P5000 は有料アカウントの人が従量課金なしで使えるという意味の free
  • GPU 空き待ちでしばらく待たされるケースあり
    • 状況によってはなかなかつながらないこともあり、この辺が無料版の限界か
  • Notebook 画面に入ったらデフォルト画面では作業せず、インスタンスを立ち上げてから Jupyter notebook アイコンをクリックすべし
  • ML Showcase は勉強のためや新しいことを始める際のテンプレートとして有用と思われる
  • typo はダサい

今回これを書くために何度か接続や実行を繰り返したところ、ストレスなくすぐつながることもあれば全然つながらないこともありました。冒頭に書いた通り、やはり世の中そう甘くはありません。とはいえ限界を知りつつ使う分には Google Colab 以外の選択肢として覚えておいても損はない存在かと思います。無料版で機能を確認の上、やりたいことに見合うようであれば有料アカウントに移行するのもアリでしょう (当然先方もそれを期待しているのだと思います)。

以上、何かの参考になれば幸いです。

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