Ensamble Para Furores 1st CD「楽園」発売記念コンサート (2022/11/09 東京・杉並公会堂小ホール)
ギタリストで作曲家の大柴拓さんが率いる Ensamble Para Furores (アンサンブル・パラ・フローレス、略してパラフロ) のコンサートに行って来ました。
フローレスと片仮名で書くと、スペイン語では flores=花が最初に思い浮かびますが、綴りは furores でこちらの意味は激怒、激情、熱狂。大柴さんがどこかで「狂気のアンサンブルをお聴き逃しなく」というようなことを書いていた記憶がありますが (探したけど見つからず) その「狂気のアンサンブル」こそが楽団名なのかもしれません。編成はギター、バンドネオン、ソプラノ歌手、フルート、バイオリン、チェロ、コントラバス、パーカッション。どちらかと言えばクラシック寄りだけどちょっと不思議な編成でもあります。
さて、この日のコンサートは彼等の1st CD「楽園」の発売記念コンサートでした。結成から5年を経ての満を持しての CD リリースだったわけですが、演奏曲目にはアルバム収録曲は4曲のみ (アンコールを含めると5曲)。当日配布されたプログラムには下記のようにあります。
普通、CD 発売記念コンサートというと CD の曲を沢山やるらしいのですが、私は昔からこのタイミングを「心機一転新曲祭り」と定めてできるだけ CD にない曲も含めてお送りします。新曲2つ書いてきました。あ、CD のタイトルは「楽園」ですが新曲「楽園」は入ってません… CD タイトルとデザインに感化されて一曲書いてしまったのです。
Ensamble Para Furores 1st CD「楽園」発売記念コンサート 東京公演プログラム
CD としてひとつ形にしたことでまさに「心機一転」なのでしょうね。
その演奏内容ですが、一言で言えば面白かった!です。ベースにあるのは室内楽的な美しさですが、そこに様々な要素が加わります。例えば和の要素、しかもお囃子とかジンタとかのちょっと懐かしくて賑やかな世界、或いは中原中也や高村光太郎の詩の世界。ジャズっぽいアドリブ、モダンタンゴのリズムやハーモニー、プログレ的変拍子も顔を出します。こんなてんこ盛りな要素が大柴マジックで曲としてまとまり、凄腕ミュージシャンが楽しげに演奏するわけですから、面白くないはずがないのです。
アンサンブルの中でも特筆すべきは加藤早紀さんの声でしょう。多くの曲でヴォカリーズ (母音のみで旋律を歌う歌唱法) によりアンサンブルの1パートとしての重要な役割を担っていました。もちろん歌詞のある曲ではその詩の世界を表現。ポップスのボーカルのような声や歌い方の個性を抑え、透明に詩そのものを伝える歌唱だったと思います。
もう一人とても印象に残っているのがバイオリンの磯部舞子さん。その演奏する姿がとても楽しそうで、音にもその楽しさがそのまま溢れ出ていました。
下記は終演直後にインスタに上げた感想です。
Ensamble Para Furores 1st CD「楽園」発売記念コンサート
日時:2022年11月9日 (水)
場所:東京・杉並公会堂小ホール
演奏曲目:
【第一部】
- 花の成長
- 波浮
- 盆
- 祝福
- 空転
【第二部】
- 楽園 (初演)
- 月の光その一 (詩:中原中也)
- 秋が眩しすぎる (初演)
- 冬の詩 (詩:高村光太郎)
【アンコール】
- 春宵感懐 (詩:中原中也)
演奏:アンサンブル・パラ・フローレス
- 大柴拓 (g、作曲)
- 北村聡 (bn)
- 羽鳥美紗紀 (fl)
- 加藤早紀 (sop)
- 磯部舞子 (vn)
- 島津由美 (vc)
- 西嶋徹 (cb)
- 渡辺庸介 (per)
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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