田辺和弘・北村聡 Duo – 江古田音楽化計画 (2023年2月23日 東京・ホワイエ江古田)
コントラバスの田辺和弘さんとバンドネオンの北村聡さんのデュオのライブに行ってきました。この二人をメンバーに含むライブは数多く、私自身もこれまで何度も観ていますが、デュオでのライブは今回が初めてなのだそうです。企画・主催は江古田音楽化計画、会場は100年ほど前に建てられた木造家屋を改造したアートスペース、ホワイエ江古田でした。
演奏された曲は二人のオリジナルとドラマーの福盛進也さんの作品が中心。全体を通して私が感じたのは「祈り」でした。祈る対象は世界の人々だったり神だったり、と様々ながら、二人の真摯な気持ちと誠実さがそのまま音になったような演奏だったと思います。
田辺さんの作品は、世界の人々が同じ月を見上げていることを思う「ただ月をながむる」(第1部1曲目)、祈りを捧げる手の様々な形をモチーフにした「祈る手に形はなく」(第2部4曲目) など、人への想い、人を信じる気持ちがこもったものでした。
北村さんは出身地の奈良が作曲のモチーフになることが多いそうで、まだ題名のない第2部2曲目は春日大社の奉納演奏のために作った曲、同3曲目は神霊の鎮まる場所を表す言葉「神奈備 (かんなび)」をタイトルに据えた曲でした。
福盛進也さんの作品は、ドラマーの曲として安易にイメージしてしまうようなタイプとはかなり趣きが異なり、田辺さんや北村さんの曲の世界観と通じるものを感じました。
この他、第2部1曲目は現在ポルトガルを活動拠点とするアルゼンチン人バンドネオン奏者マルティン・スエーの作品。またアンコールは2019年に亡くなった齋藤徹さんの作品でした。現在田辺さんが演奏しているコントラバス*は徹さんが演奏していた楽器で、楽曲、楽器やそれがまとう空気等が受け継がれ生き続けることを強く実感しました。
今後も二人でのライブは続けて行きたいとのことで、その初回という貴重な機会に立ち会えたのは幸いでした。これからどんな風にアンサンブルが熟し変わっていくのか (もしくは変わらないのか) 見守って行きたいと思います。
*フランスのガン&ベルナーデル商会によって19世紀に作られた楽器で、ヘッド部分のライオンの頭の彫刻が印象的
田辺和弘・北村聡 Duo – 江古田音楽化計画
日時:2023年2月23日 14:00〜
場所:東京・ホワイエ江古田
主催:江古田音楽化計画
出演者:
曲目:
【第1部】
- ただ月をながむる (田辺和弘)
- 美しき魂 (福盛進也)
- 月はとうに沈みゆき (福盛進也)
- 淡雪 (田辺和弘)
【第2部】
- Reloj 時計 (Martin Sued) – バンドネオン・ソロ
- 無題 (北村聡)
- 神奈備 (北村聡)
- 祈る手に形はなく (田辺和弘)
- Lily (福盛進也)
- 風の吹く方へ (田辺和弘)
【アンコール】
- 月の壺 (齋藤徹)
曲名は各部が終わったあと記憶を頼りにメモしたものです。誤りにお気づきの方がいらっしゃいましたらご指摘頂ければ幸いです。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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