ギターの弦を替えるだけのはずがペグの分解修理をするはめになった話
実は最近、真面目にギターの練習をしています。前回弾いたのがいつだったのかも思い出せないほどのエレクトリック・ギターを引っ張り出し、毎朝最低5分でもいいから練習する、という日々が続いています。とにかく始めることを優先したので、張ってあった弦はそのまま使い始めましたが (マジで20〜30年前のものだと思われ)、さすがに音がひどく上達の妨げになりそう…
ということで先日、替えの弦を買ってきて張り替え作業を始めました。
目次
ただの張り替え作業のはずだったのに…
事件は5弦を緩めて外したときに起きます。
ペグ (糸巻き) のシャフトが抜けた!
これは楽器屋さんに持ち込んで修理かなあ、いやペグの交換ぐらい自分でできるんじゃね?等と思いながらいろいろ調べているうちに、ペグ自体を分解すれば直せそうな気がしてきました。
以下はその顛末です。ギターは高校時代に買ったヤマハのセミアコースティックギター、SA-1200S。作業内容はあくまで私の事例で、どなたでも同じようにできるという保証はありません。何かの参考になってほしいと思いつつ、同様の作業をされる場合は自己責任でお願い致します。
ペグの構造を知る
まずはペグがどういう仕組みなのかを知っておきましょう。既にちゃんと解説してくれているサイトがありますのでそちらをご紹介します。
私のギターのペグはロトマチックタイプということになりますね。
実は自分ではこの辺をあまりちゃんと把握しないで分解に突入してしまいました。反省ポイントです。
とにかく外す、バラす
ペグをギターから外すこと自体は簡単です。まず裏のネジを外します。
表から六角のナットを外します。
これでペグは外れます。
ここからの手順はあるサイトに書かれていたことを参考に進めたものですが、今思えば運でたまたまうまく行っただけでした (その後ハマるわけですが)。その旨ご理解の上でお読みください。
ツマミの部分のネジを緩めて外し、はまっているワッシャーを外します。そしてツマミが付いていた軸をカタカタ動かしたらうまい具合に外れました。ウォーム (ネジ歯車) になってます。
さて、この YAMAHA の文字が入った裏蓋を外さなければ先に進めません。どうやって外すか…このとき参考にしたサイトでは、ツマミの軸が通っていたところから細い棒を突っ込んでウォームホイール (歯車)の隙間から蓋の裏側にアプローチする、という手法でした (わかりにくいですが結果としてうまく行かないのでわかりにくいままにしておきます)。でもやってみると全然届く気がしません。これでは外れないよなあ、とシャフトを元の場所に突っ込んでカチャカチャと押したりしていたら、偶然パカっと外れました。
ウォームホイールにシャフトをつないでいた黒いネジが緩んで出っ張っていたせいで、内側から裏蓋を押してくれたようです。シャフトを表から差し込んでネジを締めればシャフト外れ問題は解決!元通りに蓋をして、あとは組み上げれば…
いや、組み上がりません!
バラしと逆の手順を辿り、ツマミの軸を元に戻そうとしますが、どうやってもはまりません。外す時はシャフトが外れていたのでウォームホイールとの噛み合わせも緩んでいましたが、シャフトがきっちりネジ止めされている状態では遊びが少なくてはまらないのです。
なんで先に裏蓋閉めちゃったかなぁ。
でもこの状態からも、最初に見たサイトの手順は無理があることがわかります。先にツマミの軸を外すことになっていたのですが、はまらないということは外すのもかなり難しいはずです。そのサイトの方はできているわけですから不可能ではないはずですが、成否は軸の形状やウォームギアの遊びの状態に左右されそうです。
再びペグの裏蓋を開ける
そんなわけで、ツマミの軸をはめるには裏蓋を再度外すしかないようです。改めてネットでいろいろ調べると、細いドライバーやカッターの刃を蓋の隙間に何とか差し込んでこじ開ける、という手段を取っている人が多かったのですが、ちょっとやってみた限りでは少なくとも私のペグでは無理っぽいです。
というわけでさらに調べたところ、こんなのを見つけました。
なるほどグルー!…ってどのグルー?(接着剤ですよね?楽器業界では標準的なものがあるのでしょうか)
ホットメルトというものは、存在自体を初めて知リました。
要は何らかの手段で表面に持ち手になるものを接着して引っこ抜く、ですね。これならうまく行く気がします。
残念ながらウチには適当なグルーもホットメルトもないので、ひとまずコンビニに走ります。買ってきたのは…
アロンアルファ EXTRA ゼリー状!!
持ち手は割りばしを短く切ったものを使います。間違っても裏蓋と本体を接着してしまわないよう、割りばし側にアロンアルファをつけて
裏蓋に接着!
しばらく待って十分固まったら真っ直ぐ引っ張ると
きれいに外れました。
ちなみにアロンアルファを使うことのメリット、デメリットを考えてみました。
メリット:
- 接着力が強いので確実に外せる
- 手に入りやすい
デメリット:
- 万一裏蓋と本体の間に入ったら外すのが極めて困難になる (よって液状のものは避けたほうが良さそう)
- 接着力が強すぎて、古いペグではメッキを剥がしてしまうかもしれない
こんなところかな。しつこいですが試す場合は自己責任でお願いします。
今度こそ組み上げ
改めてシャフトのネジを外してウォームホイールも取り出します。全部バラバラ。
ここまで来ればカンタンです。ツマミの軸を通してからウォームホイールをはめて
シャフトをネジ止め。
軸にワッシャーを通してツマミをネジ止め。
あとは裏蓋を閉めれば完成ですが、最初に早まって裏蓋を閉めたらハマったので念のため開けたままでギターに取り付けました。羹に懲りて膾を吹く。
裏からネジ止めして
表のナットを締めれば取り付けも完了!
ちなみに裏蓋に付いたアロンアルファは尖ったもので適当に擦ったら取れました。傷が残ってしまいましたが。
ナイフ等で丁寧に削るか、アロンアルファの専用リムーバー「アロンアルファはがし隊」などを使えば傷を残さずきれいにすることもできると思います。
弦を張って特に問題は見当たらないので、もう分解の必要はない、ということで裏蓋も閉めます。
これにて一件落着!
まとめ
ギターの弦を替えるだけのつもりがペグのシャフトが抜けるという事故が起こり、ペグの分解修理を体験することができました。ポイントは
- まず事前にペグの構造を理解することが重要
- ロトマチックタイプのペグの分解のキーになるのは裏蓋の外し方
- 持ち手になるものを接着して引っ張る、という手法が確実
- 分解、組み立ては手順をよく考えて
といったところでしょうか。
思いがけない事故のおかげでギターのペグについていろいろ知ることができました。まだまだ学ぶことの多い還暦目前の日々でございます。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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