勝井祐二 with マリアナ・バラフ (2023年11月3日 東京・神田錦町 POLARIS)
例によってだいぶ遅れての投稿ですが、11月3日は勝井祐二さん (バイオリン) とマリアナ・バラフさん (パーカッション、ボーカル) が共演するライブに行ってきました。
これは開演前の状況。
マリアナ・バラフさんのジャパンツアーの最後二日間が東京 POLARISでの公演で、その一日目がこの日の勝井祐二さんとのデュオ。翌日には里アンナさん、マユンキキさん、廣瀬拓音さん、そして勝井さんとの共演も行われています (私は行けませんでした)。
最初にまず勝井さんがソロで演奏。切れ目なしの即興で、エレクトリック・バイオリンを弾きつつループを駆使して音を重ね、それを別のエフェクターで加工。きれいに重ねた音をあえて過剰なフィードバックで不安定なところに持って行って壊したり、その混沌からまた新しい音を生み出したり。エフェクターを楽器につないでいるというより、エフェクターもまた楽器の一部であってエフェクターの操作もまた演奏行為であるような、そんな内容でした。彼のソロやデュオ等での基本的なスタイルではありますが、その都度何が起きるかわからないところに惹きつけられます。
続いてマリアナ・バラフさんがやはりソロで演奏。こちらはトラディショナルなフォルクローレの楽曲を何曲か。写真に見えるパーカッションや、その陰に置かれている小型の手持ちのドラム「カーハ」、左の机に置いてあるマラカスのようなもの、さらには足に付けた鈴のようなものを駆使してリズムを生み出しつつ、力強い声で歌う、というスタイルでした。以前 (2015年) にも彼女のライブを観たことがあって、その時は同様の演奏を行いつつループ等も使っていたと記憶しているのですが、今回は時々エコーを使うぐらいで基本的には自分が叩いて歌う音そのままの演奏。ただ、曲の構成などはトラディショナルなフォルクローレそのものではなく、コンテンポラリーな要素もいろいろ取り入れていたように感じました。曲の合間にはそれぞれの曲のことやカーハの話などを平易な英語で説明してくれたのですが、覚えているのは最後の曲が確か “Chacarera santiagueña” と言っていたことぐらいです。
休憩をはさんで後半は二人のデュオ。それぞれのスタイルはそのままに、即興で互いの音が絡み合うことで生み出される世界はスリルと楽しさに満ちていました。何よりマリアナさんの創り出すリズムが圧倒的に面白い。二拍子系 (ワイノとか) のズンチャカズンチャカというリズムはちょっと訛って三連符に近くなるのですが、それと6/8拍子系 (チャカレーラとか) が行ったり来たり、そうかと思うと普通のエイトビートも出現したり。勝井さんもそれに反応して相互作用で音楽がどんどん膨らみ、客席も手拍子で参加するうちに巻き込まれ、ライブハウス全体がどこかへ連れて行ってもらえた演奏でした。
勝井祐二 with マリアナ・バラフ
日時:2023年11月3日 20:00~
場所:東京・神田錦町 POLARIS
出演者:
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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