Trio Primavera (2024/01/13 東京・銀座リベルタンゴ)

1月13日は昼前からのパブロ・シーグレル特別ワークショップのあとハシゴで、守田春菜さん率いるTrio Primavera (トリオ・プリマベーラ) のライブにも行きました。

このトリオは2023年10月に初めて聴いてすごく気に入ったグループです。

この時はバンドネオンの西原なつきさんがゲストで加わりましたが、今回はバンドネオンなし。でも前回書いた

第一部はTrio Primaveraのみの演奏でスタート。曲もアレンジも適度に現代的で、私の個人的な好みのど真ん中の演奏でした。バンドネオンは不在でもとてもタンゴらしくて、これは本当に大好きなタイプです。

という印象は全く揺るがず、さらに強化されました。

第一部は古典タンゴから歌謡タンゴ全盛期の作品までの、トラディショナルなタンゴ。「レコンディータ」「スエニョ・アスール」などは古き良き時代の雰囲気を漂わせる一方で (専光秀紀さんのバイオリンが良い味)、「リアチュエロの霧」は中間部でバロック風の展開があったり、ほとんど歌なしでは演奏されない「破局」が見事なアレンジで器楽曲として演奏されたり、とバラエティに富む内容でした。

第二部はまさかのクロード・ドビュッシーの「レントより遅く」からスタート。何故?と思ったら、次に演奏されたウルグアイのマヌエル・グアルディア作「ドビュッシー」にこの曲ががモチーフとして使われているからなのでした。それにしてもこんな曲どこから探してくるのでしょう。続く「コントラバヘアンド」はベバ・プグリエーセのバージョン、オスバルド・マンシ作「シンプレ」はピアソラやエドゥアルド・ロビーラも演奏している隠れた名曲、「テンブランド」はレイナルド・ニチェーレのためにロビーラが編曲したバージョン、と、聴いててほんとニヤニヤしてしまうものばかり。ベースの田中伸司さんも守田さんのこのあたりのセンスに「ヘンタイ」とか言いつつものすごく嬉しそうだったのが印象的です。もちろん奇をてらっているわけではなく、音楽的に優れているものを選んでいるのだと思いますし、その優れた内容をしっかり伝える演奏もさすがです。

終盤に現代タンゴの名曲を立て続けに演奏したあと、アンコールはディ・サルリ・スタイルをこれまた見事な切れ味で。なんと粋な終わり方。

Trio Primavera

日時:2024年1月13日(土) 15:00〜

場所:東京・銀座リベルタンゴ

出演者:

曲目:

【第一部】

  1. Niebla del Riachuelo リアチュエロの霧 (Juan Carlos Cobián, Enrique Cadícamo)
  2. Recóndita レコンディータ (内気な女の子) (Fausto Frontera)
  3. Sueño azul スエニョ・アスール (青い夢) (Francisco De Caro) pf+vn
  4. La pulpera de Santa Lucía サンタ・ルシアの雑貨屋の娘 (Enrique Maciel, Héctor Blomberg)
  5. Sur スール (南) (Aníbal Troilo, Homero Manzi)
  6. Mimí Pinsón ミミ・ピンソン (Aquiles Roggero, José Rótulo)
  7. Desencuentro 破局 (Aníbal Troilo, Cátulo Castillo)

【第二部】

  1. La plus que lente レントより遅く (Claude Debussy) pf+vn
  2. Debussy ドビュッシー (Manuel Guardia)
  3. Contrabajeando コントラバヘアンド (Astor Piazzolla, Aníbal Troilo) pf+cb
  4. Simple シンプレ (Osvaldo Manzi) pf+cb
  5. Temblando テンブランド (震えながら) (Alberto Acuña, Charrúa)
  6. Marrón y azul 栗色と青 (Astor Piazzolla)
  7. Verano porteño ブエノスアイレスの夏 (Astor Piazzolla)
  8. A mis viejos 我が両親に捧ぐ (Osvaldo Berlingieri)

【アンコール】

  1. Milonguero viejo ミロンゲーロ・ビエホ (Carlos Di Sarli, Enrique Carrera Sotelo)

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