スペイン国立バレエ団2024年日本公演 (2024/11/23 東京文化会館)
先日妻が唐突に「今来日しているスペイン国立バレエ団がいいみたいなんだけど」と言い出しました。急にどうした?と思ったら、彼女が大ファンであるフィギュアスケーターの鍵山優真選手が今シーズンのフリープログラムでフラメンコに挑んでいることから興味を持ったらしいです (別のファンの方が観に行った感想をXで読んだという話だったような)。既に公演も始まっているタイミングだったのですが、調べたらチケットはまだあったので急遽行くことにしました。
行ったのは11月23日(土)の夕方からの回。「スペイン舞踏の魂を体感できる贅沢プログラム」とされるBプログラムでした。第一部はフラメンコ以外のスペイン舞踏の要素を多分に含んだ内容で、音楽はすべて録音によるもの。エスクエラ・ボレーラという形式の群舞「インボカシオン・ボレーラ」は、華麗な足さばきとカスタネットの響きが印象的である一方、バレエシューズで踊られるため靴音は響きません。次のソロ曲「ハウレーニャ」はエスクエラ・ボレーラ、エスティリサーダ、フラメンコの3つを結びつけた踊りで、幻想的にしてダイナミック。ここで徐々に靴音が聞こえ始めます。続く「イベリア賛歌」はエスティリサーダの群舞。ここではペアダンス的な要素も見えました (対面するだけで組むことはないですが)。男性のマントや女性のスカートがひらひらと舞いカスタネットと靴音が響く華麗な踊りが魅力的でした。
休憩をはさんで第二部は「フラメンコ組曲~マリオ・マジャに捧ぐ」。こちらはステージ後方に並ぶミュージシャンによる生演奏をバックに、様々なフラメンコが踊られます。パーカッションのみで踊られる曲を皮切りに全11曲。一口にフラメンコと言ってもその中にもさまざまな形式があり、表現形態もソロもあれば群舞もあって、とにかく圧巻。靴音による表現であるサパテアードや手拍子のパルマが音楽的にも非常に重要な要素であること、手の動きが第一部で観た他の形式よりもさらに細やかで表現豊かであることが感じられました。特に印象に残ったのは、居酒屋のテーブルを囲んで座った男性ダンサーたちがテーブルを叩いてリズムを作る場面、椅子に座ったままで踊るフラメンコなど。演奏はギター3、パーカッション1、カンテ (歌) 男2、女3という編成。パーカッションはカホンの他タブラらしきものも使われていたのが興味深かったです。
カーテンコールでは写真撮影が許可されたので少し貼っておきます。2枚目は芸術監督のルベン・オルモがソロを踊っているところです (電子ズームなので画質が粗いのはご勘弁のほど)。
大満足の公演でしたが一点だけちょっと不満が。生演奏での音質に違和感がありました。低音は響いており、高音もクリアではあったのですが、中音域が抜けていたような気がします。特にカンテの声がキンキンして不自然に聞こえてしまい、ちょっと残念に感じました。
後からプログラムを確認したところ、Aプログラムでは上述のサパテアードをフィーチャーしたそのものずばりの「サパテアード」やラヴェルの「ボレロ」、そしてアルゼンチンのアルベルト・ヒナステーラの「クレオール舞曲集」からの楽曲が使われた「ハカランダ」という演目など、こちらもかなり魅力的な内容だったようです。次の来日の機会には早めに情報を掴んで観に行きたいと思います。
スペイン国立バレエ団2024年日本公演
日時:2024年11月23日 (土) 16:30~
場所:東京文化会館
出演者:スペイン国立バレエ団
- 芸術監督:ルベン・オルモ Rubén Olmo
演目:Bプログラム 祈り~invocación (インボカシオン)
【第一部】
- インボカシオン・ボレーラ Invocación bolera
- ハウレーニャ Jauleña
- イベリア賛歌 Eterna Iberia
【第二部】
- フラメンコ組曲~マリオ・マジャに捧ぐ De lo framenco – trubuto a Mario Maya
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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