三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza (2025/02/20 東京・渋谷 公園通りクラシックス)
今回も三枝伸太郎の恐るべき才能をまざまざと見せつけられた。渋谷 公園通りクラシックスでの三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanzaのライブ。
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彼の音楽は、メロディが、というよりは重なり合った音の響き全体が琴線に触れまくる。加えて複雑な変拍子。なんというか、ぐいっと掴まれていいように振り回されるような、そんな感覚になってしまう。実際の力はメンバーが出す音から伝わってくるわけで、つまりは三枝の意を汲んだ各人がその音を最大限に使って我々を揺さぶりに来るのだ。中でも強力なのが小田朋美の声。今回は歌詞のある歌は1曲だけだったが、言葉を伴わずとも人の声は心の奥底に直に触れる。しかも人の声で歌う前提で書かれたとは思えないようなメロディとリズムで。これには参った。
楽曲にところどころ散りばめられたアルゼンチンタンゴの要素も個人的には非常に惹きつけられる要素。第二部2曲目「Anger」ではオスバルド・プグリエーセの創り出した強烈なリズムである「ジュンバ」が怒りをストレートに表現するが、頂点に達した怒りが自分自身を壊していくかのようにジュンバのリズムもずれはじめ、崩壊していく。前回聴いたとき以上に強く印象に残った。
自作にタイトルを付けるのが苦手ということでまだタイトルのない楽曲群については、この後作る曲と合わせて来年あたりにはまとめてタイトルが付く見込みとのこと。そのタイトルがもたらすイメージによって聞こえ方が変わって来るかどうか、そんな過程に立ち会えるのも幸せな体験である。
三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
日時:2025年2月20日(木) 19:30~
場所:東京・渋谷 公園通りクラシックス
出演者:三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
曲目:記載がないものは三枝伸太郎作曲
【第一部】
- 歌っていいですか (L: 谷川俊太郎)
- Seeds ~ Buds
- (タイトル未定 2024年9月)
- (タイトル未定 2024年3月)
【第二部】
- Peregrinación *
- Anger 怒り *
- El día que me quieras 想いの届く日 (M: Carlos Gardel, L: Alfredo Le Pera) #
- (タイトル未定 2021-1)
- (タイトル未定 2023年1月)
【アンコール】
- 光の中で踊る
* 岡部洋一、小田朋美以外
# 岡部洋一、小田朋美、相川瞳、西嶋徹以外
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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