パリのピアソラ

今日3/20から始まる斎藤徹さんの「千恵の輪プロジェクト」では、ピアソラのパリ留学時代の曲が多く演奏されるとのこと。

今回、演奏する曲は頻繁に演奏されるピアソラ作品ではなく、1950 年代のパリ留学時代に作られたものが多く含まれます。西洋クラシック作曲家を目指していたピアソラが師ナディア・ブーランジェの示唆で、「自らのルーツであるタンゴ音楽家になろう」という重大な決意したターニング・ポイントでした。その力強い決意が熱となって数多くの作品を作りました。「処女作には以降の作品が目次のように揃っている」という事がここでも言えそうです。ピアソラはニューヨークで育ち、ジャズ、現代音楽など彼の人生のすべてをタンゴに注入しました。そしてそれが今やタンゴの本流となっているのです。異端と異端が線で繋がり、本流を作るという「芸能の真実」は洋の東西を問わず言えるのです。

七つのピアソラ/千恵の輪トリオ日本ツアー2008より)
あまり知られていないこの時期のピアソラ作品、もちろん予備知識なしに徹さんたちの演奏を聴くのも一興だが、曲を知っておいた方が楽しめる、という方も多いかと思う。あるいはライブを聴いてからピアソラのオリジナルを聴く、という順番もアリ。
ところが、残念なことにこの時期の録音のCDが異様な高値になっている。本来なら一番お手ごろだった「Paris 1955」(3枚のアルバムを1枚のCDにまとめたもの)が29,800円!ヴォーグ・レーベルのアルバムをCD化した国内盤「シンフォニア・デ・タンゴ」が8,000円!(価格はいずれも2008年3月20日現在、Amazon.co.jpでのもの)。
というわけで、国内盤ではピアソラのレアな録音を集めた「ブエノスアイレスの夏〜ピアソラ・レア・トラックス」に収められたバークレイ・レーベルへの録音4曲を聴くしかない。

ブエノスアイレスの夏~ピアソラ・レア・トラックス(アストル・ピアソラ)

コンピレーションとしてはすばらしい企画で、貴重な録音満載のすごいCDではあるが、パリの録音を聴きたい、という欲望を満たすにはやや不足気味。
うーん、これしかないのか…と思いながらいろいろ探したら、あった!!

Two Argentinians in Paris(Lalo Schiffrin/Astor Piazzola)

“Two Argentinians in Paris” の一人はもちろんピアソラ、そしてもう一人はラロ・シフリン。それぞれのパリ留学時代の録音を1枚のCDにまとめたもので、ピアソラ側は「シンフォニア・デ・タンゴ」丸々全部が入っている。ちなみにシフリンはピアソラのパリでの録音の一部にもピアノで参加している(このアルバムの曲がそれに該当するのかは未確認)。
私はシフリンの方の録音は聴いたことがないのだが、ピアソラの方の内容は間違いなく素晴らしい。ピアソラとのつながりを考えると、シフリンの方にも俄然興味がわいているところ。
以上、もっと早く書ければよかったのだが、遅くてもないよりはマシということでご容赦を。
一応高値の2枚もご紹介:

Paris 1955(Astor Piazzolla)


シンフォニア・デ・タンゴ(アストル・ピアソラ)

[Posted on 2008-03-20]

パリのピアソラ” に対して2件のコメントがあります。

  1. El Bohemio より:

    吉村さん、南米コロンビアにもピアソラのパリ時代シンホニック・タンゴのCDが発売去れています。レコード会社はFuenteでE20347番www.discotiendalatina.comで問い合わせできる出使用。16曲中Bandoだけがキンテート時代のようです。この時代は何曲録音していますか?小生のE-mail:tangofukuoka@yahoo.co.jp,ではよろしく

  2. よしむら より:

    福岡さん、こちらのご返事も遅くなってすみません。この当時のパリでの録音は確か全部で16曲のはずです。ただし、この時期の録音に紛れ込んでいるキンテートの「Bando」はピアソラの録音ではなく、弦楽オーケストラによる「Bando」は別途存在します。後日別途メールしますが、とりあえずご返事まで。

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