Viaje de Tango 第4回 アルフレド・ゴビ
2021年7月18日に放送された「Marcy & Magi の Tango en Tokio」の中のコーナー「吉村俊司の Viaje de Tango」第4回 アルフレド・ゴビ特集、事前メモの公開です。今回もまた放送からかなり時間が経ってしまいました。
この日はスタジオと自宅との間の通信状態があまり良くなくて音声に大きな遅れが生じてしまい、大変お聞き苦しかったかと思います。準備していて話せなかったこともありますので、聴かれた方も補足としてご一読ください。
目次
アルフレド・ゴビ Alfredo Gobbi
- 1912年パリ生まれ
- 両親は歌手で、パリで活躍
- 父は同名のアルフレッド・エウセビオ・ゴビ、本人はアルフレド・フリオ・ゴビ
- 生後6か月でブエノスアイレスに戻り、6歳の頃からピアノ、バイオリンを学ぶ
- 映画館でフリオ・デ・カロ楽団を聴いて育ち、デ・カロに憧れて10代半ばで音楽家の道へ
- 多くの楽団に参加
- オスバルド・プグリエーセとは縁が深かった
- バルダーロ=プグリエーセ楽団にも参加
- バルダーロ、プグリエーセ、トロイロ、ゴビが並んで演奏していた!
- 1942年自身の楽団を結成、1947年より録音開始
- レコード録音のなかった時期のゴビ楽団が最も良かったとする声もあり
- 1958年以降は楽団の活動は低調
- 晩年は酒で身を持ち崩し、酒場で流しのようにピアノ演奏(バイオリンも?)をしていたらしい
- 1965年没
アルフレッド・ゴビの音楽
- 中庸=すべてのタンゴのスタイルの真ん中にいる
- デ・カロの流れを汲むハーモニー
- 若い頃縁の深かったプグリエーセとの類似性
- デイ・サルリのようなシンプルな力強さ
- 独特のスイング感
- 高い演奏力
- 優秀なメンバー
- 作曲者としても素晴らしい
- 「エル・アンダリエーゴ」(放浪者)、「カマンドゥラーヘ」(偽善者)、「ア・オルランド・ゴニ」(ピアニスト、オルランド・ゴニに捧げた曲) 等、モダン派に愛される曲を生み出す
- 曲:ラ・ビルータ (かんなくず) / アルフレッド・ゴビ楽団 1947年
- あえて自作ではなく普通っぽい曲を選択
- 1910年代前半ころ?、ビセンテ・グレコ曲
- ダンスホールの床が削れるほどのすごいステップを指す
- シンプルで力強い演奏
- 中盤のピアノのおかずはディ・サルリっぽい
- バンドネオンの踏みしめるようなリズム感
ゴビと歌手
- 1940~50年代の他の楽団と同様、歌の曲の録音が多い
- 専属歌手の中でも最も実力があったのがホルヘ・マシエル
- 1920-1975
- 1947年からゴビ楽団の専属、1954年にプグリエーセ楽団に移籍、1968年セステート・タンゴの旗揚げに参加
- 前回のプグリエーセ楽団の「エスタ・ノーチェ・デ・ルナ」もこの人
- 圧倒的な歌唱力の正統派歌手
- 曲:レメンブランサス (追想) / アルフレッド・ゴビ楽団、ホルヘ・マシエル 1948年
- マリオ・メルフィ曲、マリオ・バティステーラ詞
- マシエルの十八番
- ダリエンソ楽団(ホルヘ・バルデス歌)の演奏でも知られる
他のアーティストからも敬愛されるゴビ
- 曲:エル・エンゴビアーオ (ゴビ風に、ゴビにハマって) / アルフレッド・ゴビ楽団 1957年
- エドゥアルド・ロビーラ曲
- ロビーラはゴビ楽団のメンバーでもあったバンドネオン奏者
- ピアソラと並ぶ現代タンゴの巨匠だが、ピアソラのようなポピュラリティは得られず
- プグリエーセ楽団の演奏する「ア・エバリスト・カリエーゴ」が唯一有名な彼の作品
- この曲はゴビの魅力、ゴビ楽団の演奏力を生かし切った傑作
- トロイロは「ミロンゲーロ・トリステ」(悲しきミロンゲーロ) を、ピアソラは「アルフレッド・ゴビの肖像」をゴビに捧げた
- ピアソラはゴビを「全てのタンゴ音楽家の父」と言った
- 曲:レトラート・ア・アルフレッド・ゴビ (アルフレッド・ゴビの肖像) / アストル・ピアソラ五重奏団 1970年
- 1970年のレジーナ劇場でのライブ録音
- ゴビが宿ったようなアントニオ・アグリのバイオリン
- 「エル・アンダリエーゴ」の一節の引用も
音源
1~4は放送でかけた曲、5はピアソラの4で引用された「エル・アンダリエーゴ」のゴビ楽団による演奏です。6は上でも述べたアニバル・トロイロ作の「悲しきミロンゲーロ」のトロイロ四重奏団による演奏。トロイロの切々たるバンドネオンが心に沁みます (別途オルケスタのバージョンもあります)。
ゴビの演奏を他にも入れようと思いましたが、ちまちま選んでないで全部聴いてもらうのが一番、ということでゴビ楽団の器楽曲の全録音が収録されているこのアルバムを貼っておきます。
最後に Spotify にはない音源で、エドゥアルド・ロビーラのトリオによる「ア・ドン・アルフレド・ゴビ」。放送でかけた「エル・エンゴビアーオ」はゴビがまだ現役だった時の作品であるのに対し、こちらはゴビが亡くなってから捧げた曲です。これまで挙げた曲とはかなり趣が違いますが、ぜひ聴いてみてください。
放送後
Marcy さんによるツイートのまとめです。
Tango en Tokio 7/18(日)第38回放送分ツイートまとめ&ダイジェスト
まとめありがとうございます!そして、改めて大事なお知らせです。
コマラジには番組サポーターという制度があって、一部の番組については月額550円で応援することができます。「Tango en Tokio」もそのシステムの対象で、サポーターになると過去に放送されたアーカイブが聴き放題なんです (特典は番組によって異なります)。今から登録しても、過去に私が出た回も聴けます。というわけで、これを機会にこの番組を応援してみようかな、という気分になった方がいらっしゃいましたら、ぜひ募集ページ 集まれー!コマラジ番組サポーター をのぞいてみてください。
そこまではまだ決心がつかない、という方は、ぜひ次回放送を聴いてみてください。番組自体は毎週日曜正午からやってますので、思い立ったらぜひ直近の日曜に。聴き方についてはマーシーさんのブログの「ラジオの聴き方」をご参照ください。
なお、私の次回出演は8月15日の予定です。よろしくお願いします!
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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“Viaje de Tango 第4回 アルフレド・ゴビ” に対して2件のコメントがあります。