昔々のベリカード発掘 (5) アルゼンチン国営放送
目次
ベリカード発掘の再開
先日、実家に埋もれていたベリカードや放送プログラム等の送付物を発見し (→実家を引き払う)、ようやくある程度整理がつきました。ベリカード発掘はこれまでちょっとランダムに進んできた感がありますが、改めて順を追って紹介していきたいと思います。
紹介順は国名のアルファベット順とします。ただし原則として Republic of とかの類いは省略。例外は United States of America とか。
で、そうすると私の手持ちのベリカードではいきなりアルゼンチンなのです。
最も聞こえにくかった海外日本語放送、RAE
1970~80年代の BCL ブームの中で、間違いなく一番聞こえにくかった海外日本語放送がアルゼンチン国営放送 RAE (Radiodifusión Argentina al Exterior 海外向けアルゼンチン放送) でした。当時の放送スケジュールは日本時間20時から1時間、周波数は9,690kHz。この9,690kHzが問題で、当時この周波数 (もしくは近隣の周波数だったか) にジャミングと呼ばれる妨害電波がどこかの国から発信されており、RAE はその影に隠れてしまっていたのです。
当時一部の国は、自国民に聞かせたくない放送に対して同じ周波数で強力なノイズを発信して妨害する、ということが行われていました。今ならインターネットで特定サービスを遮断するような感じですね。RAE がジャミングのターゲットだった訳ではありませんが、とんだとばっちりを受けていました。
それでもたまに何かの加減でジャミングが弱かったりする日があり、運良く RAE が聞こえることがありました。多分そんなタイミングで受信できた時のものと思われるのがこのカード。
「多分」と書いたのは、このカードには受信日時の記載がないからです。この局のカードは計3枚持っていますが、うち2枚は上記のように日時の記載がありません (日時記載のないもう一枚は 私のラジオ遍歴 (2) に掲載済み)。
一方、日時の記載のある一枚は日本語放送の時間ではありませんでした。
1975年8月12日3時~ 9,690kHz とあります。時刻はおそらく現地時間で、日本時間だと同日15時~。この時間帯は英語放送で、ジャミングが発信されていなかったため、日本語放送の聞こえにくさが嘘のように非常に安定してクリアに聞こえていたのでした。既にタンゴ好きだった私としてはしばしば流れるタンゴが嬉しかったりしました。そういえばジングル的にしばしば流れていた「ラ・クンパルシータ」は誰の演奏だったんだろう。使われていたのはピアノとバイオリンの対話のような感じのパートで、後年一度それらしきものを見つけた気もするのですが、思い出せません。あとマランボのリズムの曲もやはりジングル的に使われていたような記憶もあります。
と同時に、夕方に日本語放送をやってくれればいいのに、という思いもありました (要望の手紙を送ったような記憶もあります)。
ベリカード以外には一度だけ局紹介のパンフレットも送られてきたことがありました。
スペイン語なので当時は全くわからず、先日発掘するまでもらったこと自体忘れていました。 今もスペイン語は大してわからないのですが、折を見て読んでみようと思います (OCR+機械翻訳等も駆使しつつ)。
現在の RAE
アルゼンチンは何度か経済危機があったりして、不採算な海外向け短波放送、中でもなかなか日本で聞こえない日本語放送などは打ち切られてしまっているのではないかと思っていたのですが…なんと生き残ってました!短波でも聞けますし、ネットでストリーミングでも聞けます。公式サイトはこちら。
上の方には昨年のアストル・ピアソラ生誕100年を記念した “Archivo Astor Piazzolla” のバナーも見えます。
番組は週代わりのようで、アーカイブも提供されています。2022年3月28日~4月のものを聴いてみたところ、Bajofondo の “Grand Guignol” をオープニングとして軽快にスタート。アルゼンチンのニュースや話題を紹介しながら、合間にはアドリアーナ・バレーラの Como dos extraños 等のタンゴが流れました。4月2日がマルビーナス諸島戦争の傷痍軍人及び戦没者の日だったことを受けて同戦争に関する話題が多かった他、DX 情報 (デジタルトランスフォーメーションではなく遠距離放送受信の意味です) のコーナーもあり、各地の短波放送の最新情報が紹介されていました。キャスターの方の喋りがちょっと素人っぽかったり、楽曲のタイトルの日本語訳が微妙だったり (ロス・マレアードスが「千鳥足の男たち」とか) と突っ込みどころもいろいろありつつ、楽しめました。
また Wikipedia の RAE の項には詳しい情報がありました。これによればアルゼンチンの放送設備の老朽化に伴い現在は米国フロリダ州にある WRMI の送信設備から放送されているようです。とすると、短波放送も聞きやすくなっているのではないでしょうか。
私としては、これからも時々ネットで聴いてアルゼンチンの話題をしっかりフォローしたいと思います。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
商品へのリンクには以下のアフィリエイトが設定されている場合があります。
Amazon.co.jpアソシエイト
楽天アフィリエイト
“昔々のベリカード発掘 (5) アルゼンチン国営放送” に対して1件のコメントがあります。