Viaje de Tango vol.15 エンディングに特徴のある楽団特集
2022年5月15日に放送された「Marcy & Magi の Tango en Tokio」の中のコーナー「吉村俊司の Viaje de Tango」の事前メモ公開です。今回は曲のエンディングに注目してみました。
目次
タンゴのエンディングの様々なスタイル
一般的なタンゴのエンディングはいわゆる「チャン・チャン」といったもので、多くの楽団はこのスタイル。ただし他にいくつかの流派もあり (流派の名前は吉村が勝手に付けたもの)。
最後にタメを作る:チャン…チャン派
曲:La mariposa ラ・マリポーサ / オスバルド・プグリエーセ楽団
- チャン…チャン派筆頭がプグリエーセ
- どんなに盛り上がっても一番最後のチャンは一呼吸置いて静かに鳴らす
- 聴く者の心に余韻を残す演出
- 他にプグリエーセとは全然スタイルの違うリカルド・タントゥーリもこの一派
最後のチャンが無くなっちゃった:チャン派
曲:Tango Argentno タンゴ・アルヘンティーノ / エンリケ・ロドリゲス楽団 (1942年録音、歌:アルマンド・モレーノ)
- エンリケ・ロドリゲスはバンドネオン奏者で、その楽団はタンゴ以外のフォックストロット、ランチェラ等も多数録音、マルチジャンルのダンス音楽楽団
- 曲によっては最後のチャンが弱く残っているものもあり、その場合はリズム的にはタメがない
- 強弱でメリハリを付ける究極の形として最後が消えた、というイメージ
お洒落に終わる:チャン…ポロロローン派
ミゲル・カローとその門下生のオスマル・マデルナが好んで使う形式。
曲:Pa’ la guardia パ・ラ・グアルディア / オスマル・マデルナ象徴楽団
- 一瞬のタメの後のピアノの涼しげな分散和音が特徴的
- 主和音で終わらないというところもお洒落感高い
ただしこの一派はこの形だけに拘らず、もっと華麗な終わりかたもしばしば採用。
曲:Lluvia de estrellas 降る星のごとく or 星屑の雨 / オスマル・マデルナ楽団
- マデルナの華麗なピアノをフィーチャーした曲にふさわしいエンディング
楽曲
例によって Spotify のプレイリストにまとめました。会員の方はぜひ改めてエンディング部分をご確認ください。
という訳で
ちょっとマニアックな回でした。でも意外に面白いと言ってくださった方が多く、やって良かったと思います。
チャン…ポロローン派の一曲目のオスマル・マデルナ象徴楽団は、放送では当初オスマル・マデルナ楽団と紹介してしまいましたが、マデルナの死後に彼の名前を冠して活動した楽団でした。Twitter で西村秀人さんがご指摘くださり放送内で訂正できました。西村さんありがとうございました。
そして当日聴き逃した方!月額550円で「Marcy & Magi の Tango en Tokio」の過去アーカイブが聴き放題となる番組サポーターシステムがあります。新システムへの移行に伴い1か月のみのお試しも可能になりましたので、ぜひご検討ください。詳しくは下記をご参照ください。
6月分の私のコーナーは既に26日に放送が終わってしまいました。7月はおそらく17日に登場することになると思います。よろしくお願いします!
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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