キケ・シネシ&岩川光 DUO (2023年3月17日 東京・要町 GG サロン)
一曲目冒頭、キケさんの雨音を思わせるようなギターの響きに乗せて岩川さんが様々な鳥の鳴き声を楽器を持ち替えながら奏でて、一瞬にしてどこか森の中に連れて行かれたような感覚に。そんな自然に根差した音で始まったコンサートは、同曲のビダーラやそれ以降のチャカレーラ、ミロンガ、サンバ、ワイノ等、土の香りのするようなアルゼンチンのフォルクローレのリズムを基調としつつ、聴く者の琴線に触れる美しいメロディーと超絶技巧や変態的なフレーズがシームレスに同居する世界でした。
興味深かったのが、キケさんのループの使用。何曲かで (いずれもキケさんの連作 Melodías aéreas からの曲だったと思います) 自身の伴奏をループしてソロを弾きまくっていました。一方岩川さんは、第二部一曲目で見せた必殺ケーナ2本吹きが視覚的にも音楽的にも強烈。
岩川さんの MC によれば、この日演奏された曲の大半が新曲、もしくはこの二人での演奏は今回のツアーが初めての曲とのこと (下の曲目参照)。キケさんが思いの外速いテンポでスタートして岩川さんが焦ったり、といったハプニングもありつつ、まだ形が定まり切っていない音楽をリアルタイムに創造する新鮮な喜びに溢れていました。二人の互いへの信頼感と親愛の気持ちが伝わる素晴らしいコンサートでした。
キケ・シネシ&岩川光 DUO
日時:2023年3月17日 19:00〜
場所:東京・要町 GG サロン
出演者:
曲目:MC で聞き取れた曲名を各部終了後に思い出してメモしたものなので誤りを含む可能性あり。お気付きの点があればご一報頂けると幸いです。
【第一部】
- Vidala de la lluvia 雨のビダーラ (キケ・シネシ)
- Brisa verde 緑のそよ風 (岩川光)
- Melodías aéreas 9 空気の旋律たち9 (キケ・シネシ、10パートからなる連作より)
- Dos soles 2つの太陽 (キケ・シネシ、キケさんの代表作のひとつ)
- Primaveral プリマベラル (岩川光、3月13日のキケさんの誕生日にちなんで書いた春の曲だが、アルゼンチンでは3月は秋だと後から気付いたそう)
- Huayñito: Azur 青のワイノ (岩川光)
【第二部】
- Soltando amarras ソルタンド・アマーラス (キケ・シネシ、この曲のみ曲名が全く聞き取れず、マルセロ・モギレフスキーとのデュオで演奏していたという説明を頼りに後から音源で確認、多分合ってると思うけど…)
- Melodías aéreas 8 空気の旋律たち8 (キケ・シネシ、上述の連作より)
- Una señal ウナ・セニャール (キケ・シネシ、岩川さんのために書いた曲、これと次との曲順の記憶が怪しい)
- Balderrama (クチ・レギサモン、キケさんによるクチの作品集に岩川さんとのデュオが収録されている)
- Cumbeando クンべアンド (岩川光、2021年に亡くなったケーナ奏者ホルヘ・クンボに捧げた曲)
- Melodías aéreas 4 (キケ・シネシ、上述の連作より)
【アンコール】
- ? (曲名アナウンスなしにつき不明)
参考:関連アルバム
Brisa verde 収録
Huayñito: Azur 収録
Dos soles, Soltando amarras 収録
Balderrama 収録
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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