黒田亜樹と東京ピアソラランドの仲間たち ― バンドネオン、北村聡を迎えて (2023年6月3日 東京・等々力 玉川せせらぎホール)
2023年6月3日は前年9月以来の東京ピアソラランドでした。
前回はCHICAさんのプロデュースで黒田亜樹 (クロアキ) さんはゲストの扱いでしたが、今回はクロアキさんの名前が前面に。二人で交互に企画することにしたのかな?編成は前回と同様弦楽四重奏+ピアノ+バンドネオンでした。
バッハ、ピアソラ、おそらく本邦初演のフェルナンド・オテロ、そしてカプースチンと、非常に振れ幅の大きい内容。バッハのクラヴィア協奏曲はピアノとバンドネオンでソロ楽器を交代しながら進行。減衰音のピアノと持続音のバンドネオンの対比が面白くかつ心地良く、思わず夢の世界へ…(すみません!)。
ピアソラ作品は初期のピアソラランドからおなじみの曲や、前回も演奏されたCHICAさんによる新編曲の弦楽四重奏版「リベルタンゴ」「オブリビオン」とどれもさすがの完成度。見事でした。
そして今回個人的に大注目だったのがフェルナンド・オテロ (プログラムではオテーロと表記) の作品。米国在住のアルゼンチン人ピアニスト、作曲家である彼は、現代音楽、ジャズ、タンゴ等が融合した作品を発表しており、ラテングラミーの受賞歴もある人物です。実は私、彼のアルバムは気に入ってよく聴いていたのです。
キャリアを見るとクロアキさんとも近いものがあるな、と思ったら、やはり彼女もオテロには注目していて交流もあるそうで、今回曲を取り上げる件についても快諾を得たのだとか。演奏された曲は上の記事で取り上げたアルバムにも収録されている “From Now On” (De ahora en mas)。バンドネオンによるサイレンのような音がもたらす緊張感が凄まじく、全員が疾走するスピード感に圧倒されました。
前回も演奏されたカプースチンは、聴いた感じはジャズっぽいけどアドリブはゼロで全て譜面に書かれている、という曲。ラストのピアソラ「革命家」共々、聴く方は楽しいけど演奏する方はかなり大変そうです。
アンコールは北村さんのバンドネオンが奏でるバッハを忘れないで欲しい、ということで「G線上のアリア」。嵐の後の穏やかな日差しような締め括りでした。
黒田亜樹と東京ピアソラランドの仲間たち ― バンドネオン、北村聡を迎えて
日時:2023年6月3日 15:00~
場所:東京・等々力 玉川せせらぎホール
出演者:
曲目:
【第一部】
- クラヴィア協奏曲 第1番 ニ短調 BVW 1052 (J.S.バッハ)
- Allegro
- Adagio
- Allegro
- アディオス・ノニーノ (A.ピアソラ、編曲:黒田亜樹) – ピアノ・ソロ
- タンガータ (A.ピアソラ)
【第二部】
- 現実との3分間 (A.ピアソラ)
- フローム・ナウ・オン (F.オテーロ)
- リベルタンゴ (A.ピアソラ) – 弦楽四重奏
- オブリビオン (A.ピアソラ) – 弦楽四重奏
- ピアノ五重奏曲 Op. 89 第4楽章 (N.カプースチン)
- 革命家 (A.ピアソラ)
【アンコール】
- 管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068 第2曲 エール「G線上のアリア」(J.S.バッハ)
せっかくなのでフェルナンド・オテロのアルバムも貼っておきます。上に貼ったブログで取り上げたアルバム “Plan” からの抜粋とこの当時 (2008年) の新録音とが混在しており、”From Now On” (De ahora en mas) は3曲目に入っています。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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