歌劇「ブエノスアイレスのマリア」(2023/12/15 東京・高円寺 座・高円寺2)
12月15日は歌劇「ブエノスアイレスのマリア」に行ってきました。
柴田奈穂さん率いるタンゴ・ケリードが主催するこの作品の公演は今年の5月19日以来。小松亮太さんによる公演も3月5日に行われているので、今年はこの大作を3回も観ることができました。
今回は、同じ作品を繰り返し上演することの効果を目の当たりにした公演でした。タンゴ・ケリードの最初の公演 (2021年12月22日) から既に非常に高いレベルの演奏だったのは間違いないのですが、そこからさらに演奏内容は向上。音の押し引きの加減、特に押してくるときの一体感と圧の強さ、響きの美しさが凄かったと思います。
録音による群読の頭出しと字幕の表示タイミングも前回同様完璧。加えて字幕がとても見やすかったことは特筆に値します。文字のクリアさ、大きさに加え、表示される位置が適切で、演奏を観る視界にそのまま字幕が入ってくるような印象でした。結果として字幕を見ることをほとんど意識することなく、演奏そのものに集中しながら字幕の内容も把握できるという理想的な状況。これも繰り返し上演して試行錯誤を重ねた結果でしょう。
今回はクラウドファンディングの助けも得ながらの公演で、本当にいろいろと大変だったかと思います。その大変さを厭わず、今後もこの作品を上演し続けようと努力を重ねるタンゴ・ケリード団長の柴田奈穂さんには頭が下がる思いです。
実はクラウドファンディングの応援メッセージとして、私は以下のように書きました。
2021年のオペラ形式の公演の企画を最初に聞いたときは、失礼ながら正直無謀なのではないかと思った。しかし柴田奈穂は驚くべき行動力・推進力で困難を乗り越え、素晴らしい完成度で2日間の舞台を成功に導いた。それだけでも大変な偉業なのに、彼女は仲間たちとさらに前へ進もうとしている。アストル・ピアソラとオラシオ・フェレールによる『ブエノスアイレスのマリア』は作者たちにとってもタンゴという音楽にとっても特別な作品であることは間違いないが、特別であればこそ多くの人が最善の形で聴けるものであってほしい。その実現に向けた新たな一歩を、心から応援する。
ピアソラの最高傑作を届けたい! 歌劇「ブエノスアイレスのマリア」継続プロジェクト – 私も「マリア継続プロジェクト」を応援します!
今回の公演を観終えて、この気持ちはますます強まるばかり。この先も続く歩みを引き続き応援したいと思います。
歌劇「ブエノスアイレスのマリア」
日時:2023年12月15日 (金) 18:30〜
場所:東京・高円寺 座・高円寺2
作:アストル・ピアソラ、オラシオ・フェレール
出演:
- 小島りち子 マリア (歌手)
- KaZZma カントール (歌手)
- 西村秀人 ドゥエンデ (朗読)
- 早川純 バンドネオン
- 柴田奈穂 バイオリン
- 会田桃子 バイオリン
- 田中景子 ビオラ
- 橋本歩 チェロ
- 赤木りえ フルート
- 田中庸介 ギター
- 宮沢由美 ピアノ
- 田辺和弘 コントラバス
- 相川瞳 ビブラフォン、シロフォン
- 海沼正利 パーカッション
曲目:
【第一部】
- 第1場 アレバーレ (開始の合図)
- 第2場 マリアのテーマ
- 第3場 いかれたオルガニートへのバラード
- 第4場 カリエゴ風ミロンガ
- 第5場 フーガと神秘
- 第6場 ワルツによる詩
- 第7場 罪深いトッカータ
- 第8場 ミゼレーレ・カンジェンゲ
【第二部】
- 第9場 葬送のコントラミロンガ
- 第10場 暁のタンガータ
- 第11場 街路樹と暖炉に寄せる手紙
- 第12場 精神分析医のアリア
- 第13場 ドゥエンデのロマンス
- 第14場 アレグロ・タンガービレ
- 第15場 受胎告知のミロンガ
- 第16場 タングス・デイ (神のタンゴ)
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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