MABO FES 「まぼろしの世界」フェスティバル (2024/03/31 東京・吉祥寺 STAR PINE’S CAFE)
「まぼろしの世界」というのはギターの鬼怒無月さんとバイオリンの勝井祐二さんが設立したレーベル。そのレーベルのライブイベントが「まぼろしの世界」フェスティバル=MABO FESです。私は今まで行ったことがなかったのですが、久しぶりの開催、かつBondageFruitの新作「Ⅶ」リリース記念ということで行ってきました!
会場は吉祥寺のSTAR PINE’S CAFE。出演はもちろんBondageFruit、そして鬼怒=勝井デュオのPere-Furuと武田理沙さん、さらにBondageFruitの新作ジャケットに絵画を提供した及川キーダさんがライブペインティングをやる、という豪華な内容です。
以下、感想の断片の寄せ集めみたいになっちゃいますがご勘弁を。
スタートはPere-Furu。二人だけで1曲演奏したところで武田理沙さんが登場。実は彼女の演奏は初めて聴いたのですが、いわゆる「普通の女の子」っぽい雰囲気でにこにこと笑顔で出てきて、演奏が始まるとその雰囲気のままギュインギュインとシンセを操る姿に圧倒されました。Pere-Furuの二人と相互に刺激し合いながら演奏はどんどん異次元へ。と、武田さんはキーボードを離れてパーカッションの席に座り、ドコドコバシバシと太鼓をぶっ叩く!かっこ良さに衝撃を受け、半ば呆気にとられつつ盛り上がりつつ第一部終了。
休憩後はBondageFruitの演奏と及川キーダさんのライブペインティング。結構ストレートなロックっぽい曲もあればアコースティックな曲もあり、でもやっぱり基本的にはこの人たちならではの複雑にして凄まじい展開。「今日は新作から全部やります!」と鬼怒さん。”Three Voices” の出だしははスティーブ・ライヒのフェイズシフティングみたいだなあ、と思う間もなく混沌の世界へ。
一方及川キーダさんは演奏が始まると同時に真っ白なキャンバスに絵の具を置きはじめます。その局面により、絵画に集中しているようであったり演奏に合わせて踊りながらであったり。筆の圧がリズムに同期して動いたりもしていました。キャンバス上に現れたあの形は人?こっちは鳥?…かと思うとそれに別の色が重ねられて全く別の形に。描かれる過程そのものに物語があり、動画を観ているような不思議な体験でした。
休憩を挟んで後半、楽曲は南米っぽさやエスニックな感じも交えつつ。キーダさんも踊りまくりながらどんどん描く。手に絵の具をためてキャンバスの縁を掴むように塗っていたのが印象的。こちらの視線は演奏とペインティングを行ったり来たりで、いつものライブだけに集中する体験とは自分の中の違う部分が刺激されました。
バンドの音としては、鬼怒さん、勝井さんのかっこよさはもちろん好きなんですが、個人的には高良久美子さんのビブラフォンの音がこの編成の中で響くのが好きなんです。1970年代後半の”Gazeuse!”、”Expresso II”あたりのGongとか、ビル・ブルーフォードの一部の楽曲とかにも通じるような印象。大坪寛彦さんのベースの音も好きだなあ。アップライトならではのあのゴリッとした響き。たまりません。岡部洋一さんはここではドラムスではなくあくまでパーカッションなんですよね。キックのバスドラムは置かず、スティックで叩くバスドラム?フロアタム?が最低音。んで座っているのはカホン。
アンコールでは武田理沙さんも加わっての “Happy Bastard”。そしてキーダさんの絵も完成!最終的には「Ⅶ」のジャケットの構図、でも細部はかなり違う、という出来上がり。
ちなみに「Ⅶ」のジャケットはこちら。
以上、何のまとまりもない感想ですが、とにかく行って良かった!素晴らしい時間でした。
MABO FES 「まぼろしの世界」フェスティバル
日時:2024年3月31日 (日) 17:00〜
場所:東京・吉祥寺 STAR PINE’S CAFE
出演者:
- Pere-Furu
- BondageFruit
- ゲスト
曲目:
【第一部】Pere-Furu+武田理沙
- 曲名わからず、Pere-Furuのみで1曲、Pere-Furu+武田理沙で2曲
【第二部】BondageFruit+及川キーダ
- 蒼い機械
- 森の掟
- 振り子
- Three Voices
【第三部】BondageFruit+及川キーダ (曲順は自信ないです)
- 黒い生き物
- Caminante
- Cypress
【アンコール】BondageFruit+及川キーダ+武田理沙
- Happy Bastard
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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