三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza (2024/09/26 東京・渋谷 JZ Brat)
三枝伸太郎さん率いるOrquesta de la Esperanzaのライブに行ってきました。2024年9月26日(木) 19:00から、東京・渋谷のJZ Bratにて。この楽団、CDは2枚とも持っているのですが、ライブに行ったのは多分今回が初めてだと思います。いや、素晴らしかった!
(ガラスの反射でお見苦しいものが映り込んでいますがご容赦のほど)
三枝さんはじめほとんどのメンバーがタンゴに関係する演奏活動をしている人たちです。三枝さんのオリジナルの楽曲にもあちこちにタンゴの顔が見え隠れ。だからといってタンゴを演奏する楽団というわけではなく、あくまでタンゴは音楽に含まれる要素という印象です。
三枝さんの書くメロディとハーモニーは琴線に触れまくり、というか胸の奥をぐいっと掴まれてしまうような感覚を覚えます。一方でそのリズムのなんと複雑なことか。何も考えず身を委ねれば良いものを、私にはどうしてもリズムを追ってしまう習性があり、頑張ると脳みそが引っ掻き回されそう。そしてそれらが一気に押し寄せてくるのを受け止める快感…それが彼らのライブです。
小田朋美さんの声は、このアンサンブルの中でも非常に強力な存在でした。ほとんどの曲が歌詞のないヴォカリーズでしたが、単にメロディを歌うだけでなく、例えば第一部3曲目「Seeds」では彼女の声が提示したテーマを他の楽器が追従したり、両者が掛け合いをしたりするというような構成で、人の声の持つ力が音楽の中に込められていくのを目の当たりにした気がします。一方で谷川俊太郎さんの詩に曲を付けた第一部2曲目「歌っていいですか」やアンコール2曲目「一日」の言葉の響きは何とも美しい。ほぼ丸刈りのようなヘアスタイルも驚きました。
他に印象に残った曲としては第二部2曲目「Anger (怒り)」がありました。オスバルド・プグリエーセの「ジュンバ」のような極端に1拍目と3拍目を強調したリズムが、途中からしばしば楽器間でずれたり反転したり。怒りが高じてちょっと壊れていくような感覚にも思えました。
第二部1曲目の「El día que me quieras (想いの届く日)」、アンコール1曲目の「Libertango」はそれぞれカルロス・ガルデル、アストル・ピアソラのお馴染みの曲ですが、三枝マジックの編曲のおかげでいつもとはずいぶん違う装いで我々の前に立ち現れたという印象です。
ちなみにこちらはJZ Bratお馴染みの出演者にちなんだカクテル。今回はOrquesta de la Esperanzaが間もなく結成10周年を迎えるということで「もうすぐ十年」という名前でした。甘さと酸味とほろ苦さは彼らの10年の味でしょうか。美味しかったです。
三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
日時:2024年9月26日(木) 19:00~
場所:東京・渋谷 JZ Brat
出演者:三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
曲目:記載がないものは三枝伸太郎作曲
【第一部】
- Peregrinación
- 歌っていいですか (詩:谷川俊太郎)
- Seeds
- (タイトル未定、この日できたばかり)
- (タイトル未定、2023年作曲)
【第二部】
- El día que me quieras 想いの届く日 (Carlos Gardel, Alfredo Le Pera)
- Anger 怒り
- (タイトル未定、2021-1)
- (タイトル未定、2024-3)
- (タイトル未定)
【アンコール】
- Libertango (Astor Piazzolla)
- 一日 (詩:谷川俊太郎)
第一部1、アンコール1:岡部洋一、小田朋美以外
第二部1:岡部洋一、相川瞳、小田朋美以外
第二部2:小田朋美以外
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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