98.6.6更新
このページは、ピアソラについてメールなどでよく質問をいただく事柄と、一般的な基礎知識をまとめたものです。小松亮太ってどんな人?を追加しました。
- ピアソラの略歴は?
- ピアソラの生涯を簡単に教えてください。
以下の通りです。
- 1921年アルゼンチンのマルデルプラタに生まれる。
- 3歳から16歳までをニューヨークで過ごし、その間にバンドネオンを手にする。
- 1939年ごろよりプロの音楽家を志向、巨匠アニバル・トロイロの楽団、歌手の伴奏楽団を経て1946年には自身の楽団を結成。
- 一時クラシックの作曲家を目指し、1954年フランスに留学、ナディア・ブランジェに師事するも、ブランジェの助言により自らの音楽はタンゴであることを認識。
- 1955年のアルゼンチン帰国前後より、それまでのタンゴの常識を覆すような演奏活動を開始。
- 一時スランプに陥り、ニューヨークに逃げたりしていたが、1960年には、その後生涯の音楽活動の基盤となるスタイルである五重奏団(キンテート)を結成。
- 1968年には詩人オラシオ・フェレール、歌手アメリータ・バルタールと出会い、さらに表現の幅を広げる。
- 1974年、ヨーロッパに拠点を移し、ジャズ、ロックの表現を取り入れた活動をおこなう。
- 1978年、アルゼンチンに戻りキンテート再結成。以後10年に渡り、安定し充実した活動を行う。82年以降計4回来日。
- 1988年キンテート解散。心臓手術を受ける。
- 1989年六重奏(セステート)を結成するも、短期間で解散。
- 1990年パリにて脳血栓で倒れ、闘病むなしく1992年7月4日、ブエノスアイレスにて死去。
- ピアソラの弾いているバンドネオンという楽器はどういうもの?
- ピアソラの弾いている楽器に興味があります。また、アコーディオンとはどう違うのでしょうか。
バンドネオンは、19世紀半ばにドイツ生で生まれた楽器で、アコーディオンの一つの改良としてできたもののようです。ドイツでは教会でオルガンのかわりに使われたりしていたようですが、何の因果か20世紀初頭にこの楽器が船に乗って港町ブエノス・アイレスに渡り、タンゴに使われるようになりました。
機能的、外見的な特徴としては、
- 鍵盤ではなく両手ともボタンで、しかもその配列がばらばら
- 蛇腹を開く時と閉じる時で同じボタンを押していても違う音が出る
といったことが挙げられます。
アコーディオンの親戚の割には、音色はアコーディオンとは結構違って、オルガンのような深みのある音がします。実際の音で確認してみてください。
- ピアソラのCDはどこで買えば良い?
- ピアソラのCDは簡単に入手できるのでしょうか。また、どこで買えば良いのでしょうか。
最近は大きなCDショップなら大抵どこでも手に入ります。
どの店も、大抵タンゴの棚はワールドミュージックのコーナーにあって、その中でピアソラは別格扱いになっています(ちなみにワールドミュージックという概念がなかった頃はタンゴは「ムード」とか「ダンス」だったりしたのであった...)。
とはいえ、店によって当たり外れはあります。私が東京でよく行くのは
高田馬場 |
ムトウ |
新宿 |
HMV(高島屋のほう) |
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Virgin MegaStore |
渋谷 |
タワーレコード |
恵比須 |
中南米音楽 |
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新星堂(アトレの5F) |
銀座 |
山野楽器本店 |
あたりです(西の方に偏っているのは私の居住地、勤務地の関係です)。
このうち恵比須の中南米音楽は、名前の通り中南米関係の専門店です。
ムトウと山野楽器は昔からかなりタンゴに力を入れていた店で、もし行きやすいならこのいずれかに行けばまず間違いありません。
あとは言わずと知れた大手です。同じチェーンでも店舗によって品揃えが違いますが、取り敢えず上記の店舗なら大丈夫でしょう。
渋谷のタワーレコードなどは、4Fのワールドミュージックのフロア以外に5Fのジャズ、6Fのクラシックにもそれぞれピアソラコーナーがあったりします(同じディスクがフロアによって値段が違ったりするんですね、これが)。
- ピアソラの情報はどこで手に入れる?
- ピアソラに関する様々な情報は、どこを見ればわかるのでしょうか。
インターネットのWebページについては、リンク集にいろいろまとめてありますのでそちらをご覧ください。
あとは、NIFTY Serveに「世界音楽フォーラム(FWM)」というのがあって、ここの11番会議室「タンゴの部屋」がおすすめです。NIFTYにアクセスできる方はぜひのぞいてみてください。
雑誌では「ラティーナ」という月刊誌があります。必ずしも毎月ピアソラが取り上げられているわけではありませんが、ワールドミュージック全般を取り扱う雑誌ですので、興味のある方はぜひ。CDの新譜情報、コンサート情報、CDショップの広告なども見逃せません。
単行本については、現在、斎藤充正著「アストル・ピアソラ 闘うタンゴ」、小沼純一著「ピアソラ」という本が出ています。
- 芸術劇場「ピアソラのすべて」について
- 97年12月7日に放送され、98年5月24日に再放送されたNHK教育テレビの芸術劇場「ピアソラのすべて」に出ていた人達の事を教えてください。
97年12月7日の芸術劇場「ピアソラのすべて」では下記のラインナップで放送されました。なお、98年5月24日の再放送は、下記のうち赤で書かれている曲目のみの短縮版でした。
- フアン・ホセ・モサリーニ・タンゴ・オーケストラ(97.7.1 渋谷シアターコクーン)
- 来るべきもの、現実との3分間
→参考CD「ボルドネオ 1900 (Bordoneo y 900)」
- モサリーニ&アントニオ・アグリ五重奏団(97.7.1 渋谷シアターコクーン)
- 五重奏のためのコンチェルト、AA印の悲しみ
→参考CD「エンクエントロ」
- アサド兄弟(97.7.3 渋谷シアターコクーン)
- "タンゴ組曲"から アンダンテ〜アレグロ
→参考CD「オルタナティヴ・ピアソラ」
- アサド兄弟&フェルナンド・スアレス・パス(97.7.3 渋谷シアターコクーン)
- "タンゴの歴史"から 酒場1900、レビラード
- 小松亮太 with THE TANGUISTS(97.11.13 江古田Buddy)
- ブエノスアイレスの夏
→参考ホームページ「エル・タンゴ・ビーボ」
- エマニュエル・アックス&パブロ・シーグレル(97.7.4 渋谷シアターコクーン)
- リベルタンゴ、天使のミロンガ、タンガータ
→参考CD「ロス・タンゲーロス〜ピアソラ作品集」
- ヨーヨー・マ (録音風景)
- リベルタンゴ
→参考CD「ヨーヨー・マ・プレイズ・ピアソラ」
- ギドン・クレーメル(97.9.21 紀尾井ホール)
- (タンゴ・エチュード)、ブエノスアイレス午前零時、パチューリ、鮫、"タンゴの歴史"から カフェ1930 今日のコンサート、ブエノスアイレスの冬、アレグロ・タンガービレ、デカリシモ、ミケランジェロ70、ブエノスアイレス午前零時
→参考CD「ピアソラへのオマージュ」、「エル・タンゴ〜ピアソラへのオマージュ2」
- ミルバ&アストル・ピアソラ・モダン・タンゴ五重奏団(88.6.26 中野サンプラザ)
- ブエノスアイレスで私は死のう、もしかしてまだ、ブエノスアイレスの夏、孤独の歳月、ロコへのバラード、ミケランジェロ70、忘却、チェ・タンゴ・チェ
→参考CD「エル・タンゴ 」
- アストル・ピアソラ・モダン・タンゴ五重奏団(1980 西ドイツ放送協会スタジオ)
- アディオス・ノニーノ
→参考CDは山ほどあるので「よしむら手持ちのピアソラCDリスト〜本人編〜」へどうぞ
- 小松亮太ってどんな人?
- 以前テレビで小松亮太という人がバンドネオンを弾いているのを見掛けましたが、彼はどんな人なのでしょうか。
ご覧になったのは、おそらく以下の番組のどれかですね。
- 97.8.20 TBS系 ニュース23
- 97.12.7 NHK教育 芸術劇場「ピアソラのすべて」(98.5.24再放送)
- 98.2.13 NHK トップランナー
小松亮太は1973年生まれで、14歳の頃からバンドネオンを弾き始めたそうです。ピアソラの音楽にひかれ、現在自身のグループ「ザ・タンギスツ」を率いて都内ライブハウスなどで活動しています。その演奏はピアソラの音楽の持つ熱さをしっかりと伝える素晴らしいものです。98.7.1にはアルゼンチンで録音したCDがソニークラシカルから発売予定です。
なお、タンゴユニット「エル・タンゴ・ビーボ」のWebページに彼について詳しい情報がありますので、ぜひ訪ねてみてください。
吉村俊司(東京都)
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