開演に遅れてしまい、プログラムによれば3曲目になる「ビエホ・ブエノスアイレス」から聴くことができたこの日のコンサート。予想をはるかに上回るお客さんの数で、当日券で入った私は3階席になってしまいました。
第1部は、カルロス・ガルデルの作品を特集した「カルロス・ガルデル セレクション」が中核となるプログラム。1996年にリリースされたアルバム「カルロス・ガルデルに捧ぐ」から曲目で、原曲のメロディー、アレンジ、演奏のいずれもが一級品、至福のひとときでした。
さらにそのあと続いた曲目も名曲ぞろい、中でも「今日のミロンゲーロ」や「見捨てられて」などが生で聴けたのは感激でした(となると1曲目の「ドン・アグスティン・バルディ」を聴き逃したのは非常に痛い!)。
フェデリコ楽団にも在籍していた名バンドネオン奏者に捧げた「フリオ・アウマーダの肖像」で幕を開けた第2部のメインは「アストル・ピアソラ セレクション」。
この楽団ならではの名演「天使のタンゴ」「ノニーノ」はまさに白眉の演奏でした。
一方、ピアソラ五重奏団のアレンジにほぼ忠実な「デカリシモ」「レビラード」もフェデリコのバンドネオンが大活躍の演奏でしたが、彼等にコピーをさせるのはもったいない気もしました。「リベルタンゴ」は男性ダンサー二人による、タンゴの枠を飛び出したダンスが目を引きましたが、演奏面は今一歩の感がありました。
最後はコンチネンタル・タンゴの「夜のタンゴ」も交えてポピュラー曲で一気に盛り上げて幕。アンコールは、ピアソラ セレクションで取り上げられなかった以上他にありえない一曲「アディオス・ノニーノ」でした。
久々に重厚にして完璧なオルケスタ・ティピカの響きを堪能した一夜でした。 ほぼ固定メンバーで何年も活動している彼等だけに出せる音だったと言えるでしょう。 強いて言えば、ピアノに若干雑なところがあったり、ヴァイオリンのソロがちょっとあっさり味で物足りなかったり、というところが惜しかったかな。 また、カルロス・ガリの歌はとにかく安心して聴ける巧さがありましたし、ダンスも曲調を心得つつ見せるべき所は見せる、という素晴らしいものだったと思います。
第1部 | 第2部 |
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* プログラム上「場末のメロディー」「苦い下町」となっているこの辺で、アルバム「カルロス・ガルデルに捧ぐ」にも入っていた「カルロス・ガルデル・メドレー」が演奏されたような気がします。が、どうも記憶もメモもあいまいで、本当のところは確信がありません。